病気腎移植

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病気腎移植(びょうきじんいしょく)とは、腎臓癌患者などから摘出した腎臓を患部のみ切除した後に慢性腎不全の別の患者に移植する手術のことである。

かつて愛媛県宇和島市宇和島徳洲会病院医師万波誠らのグループらが、生体腎移植死体腎移植に続く臓器を有効活用する「第3の道」と主張して平成2年(1990年)頃から実施している。日本移植学会などは移植を受けた患者で癌が再発したり部分切除で済む腎臓の全摘出に繋がったりする恐れがあるとして反対していた。厚生労働省は「医学的妥当性がない」として平成9年(2007年)に臨床研究以外は原則禁止にした。徳洲会は平成21年(2009年12月からドナーの原疾患を腎臓癌に絞り、臨床研究として計18例を実施し、厚労省先進医療の承認を求めていた。

病気腎移植関連の年表[編集]

  • 1990年平成2年)頃
  • 2004年(平成16年)
    • 4月 - 万波誠が宇和島徳洲会病院に移籍する。
  • 2006年(平成18年)
    • 10月 - 宇和島徳洲会病院で生体腎移植をめぐり臓器売買が発覚する。
    • 11月 - 万波誠らによる病気腎移植が表面化する。
  • 2007年(平成19年)
    • 3月 - 日本移植学会などが「医学的な妥当性がない」との声明を公表する。
    • 7月 - 厚生労働省が臨床研究以外の原則禁止を通知する。
  • 2008年(平成20年)
    • 12月 - 容認を求める患者らが移植学会幹部らを提訴する。
  • 2009年(平成21年)
    • 12月 - 徳洲会が臨床研究として初めて実施する。
  • 2011年(平成23年)から2012年(平成24年)
    • 10月・8月 - 宇和島徳洲会病院が厚生労働省に先進医療を申請する。専門家会議で不承認となる。
  • 2016年平成28年)
  • 2017年平成29年)
  • 2018年(平成30年)
    • 7月 - 厚労労働省の先進医療会議が先進医療として条件付きで承認する。重症腎不全患者が対象とする[1]。ドナーの適合性の判断とレシピエントの選定について関係学会推薦の外部委員が参加して検討することを条件とした。適格性を判断する外部委員として日本泌尿器科学会と日本移植学会が計2名の外部委員を推薦している[2]

学会声明[編集]

日本移植学会、日本泌尿器学会、日本透析医学会、日本臨床腎移植学会の4学会は、声明を発表し、プロセスに透明性がないこと、医学的に妥当であるか、書面による同意がなされているか、倫理委員会で検討され、承認がなされているかについて、疑問を投げかけた[3]

参考文献[編集]

  1. 病気腎移植「先進医療」承認読売ドクター、2018年7月6日
  2. 病気腎移植が先進医療に日本医事新報社、2018年07月14日
  3. 病腎移植に関する学会声明