河西宏祐

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河西 宏祐(かわにし ひろすけ、1942年7月19日[1] - 2017年5月26日[2])は、労働社会学者。早稲田大学名誉教授。専攻は社会学(経営・職業・労働)[3]

略歴[編集]

神戸市で生まれ、姫路市で育つ[3]。1965年東京教育大学文学部卒[4]。1971年東京教育大学文学研究科博士課程中途退学、文学部助手。1974年千葉大学教養部助教授。1983年同教授[3]。1985年「企業別組合の実態 : 「全員加入型」と「少数派型」の相剋」で文学博士(名古屋大学[5]。1994年千葉大学文学部教授。1996年ハイデルベルグ大学客員教授(4月~8月)。1998年千葉大学名誉教授、早稲田大学人間科学学術院教授。2013年早稲田大学名誉教授[4]

2008年10月、ライフワークである電産(日本電気産業労働組合)史研究の集大成『電産の興亡(一九四六年~一九五六年)――電産型賃金と産業別組合』(早稲田大学出版部、2007年)で第14回社会政策学会学術賞を受賞[4][6]。その他の主著に新左翼系少数派組合を論じた『少数派労働組合運動論』(1977年)、『電産の興亡(一九四六年~一九五六年)』の前編にあたる『電産型賃金の世界』(1999年)、広島電鉄の労働組合運動史を描いた『路面電車を守った労働組合』(2009年)、「広電現象」を分析した『全契約社員の正社員化』(2011年)などがある。ゼミ生らとの共著に『学生に語るジャーナリストの仕事』(早稲田大学人間科学部河西ゼミ編、平原社、2002年)がある[7]

人物[編集]

1980年代に授業で労働映画を使い始めたが、他の教官から「偏向教育」だとして妨害活動を受けた。幸いにも出版した授業の記録『戦後日本の争議と人間』(1986年)が国内外から高い評価を受けたため、妨害活動は終息した[2]

親類に脚本家の橋本忍がいて、学生時代から映画に興味があった[8]

著書[編集]

  • 『少数派労働組合運動論』(海燕書房、1977年)
  • 『企業別組合の実態――「全員加入型」と「少数派型」の相剋』(日本評論社、1981年)
    • 英訳:Enterprise Unionism in Japan, London: Kegan Paul International, 1992
  • 『企業別組合の理論――もうひとつの日本的労使関係』(日本評論社、1989年)
  • 『新版 少数派労働組合運動論』(日本評論社、1990年)
  • 『聞書・電産の群像――電産十月闘争・レッドパージ・電産五二年争議』(平原社、1992年)
  • 『大学教育春秋――千葉大学教授の8825日』(ノンブル社、1999年)
  • 『電産型賃金の世界――その形成と歴史的意義』(早稲田大学出版部、1999年、新装版2001年)
  • 『日本の労働社会学』(早稲田大学出版部、2001年、新装版2003年)
    • 英訳:A Sociology of Work in Japan, Cambridge: Cambridge University Press, 2005
  • 『インタビュー調査への招待』(世界思想社[Sekaishiso seminar]、2005年)
  • 『労働社会学入門』(ロス・マオア共著、早稲田大学出版部、2006年)
    • 中国語訳:『日本劳动社会学』(河西宏祐、罗斯・摩尓著、袁晓凌本册主编、华东师范大学出版社、2010年)
  • 『電産の興亡(一九四六年~一九五六年)――電産型賃金と産業別組合』(早稲田大学出版部、2007年)
  • 『路面電車を守った労働組合――私鉄広電支部・小原保行と労働者群像』(平原社、2009年)
  • 『全契約社員の正社員化――私鉄広電支部・混迷から再生へ(1993年〜2009年)』(早稲田大学出版部[早稲田大学学術叢書]、2011年、新装版2012年)
  • 『ワセダ教育断想――集まり散じて』(ノンブル社、2012年)[9]
  • 『全契約社員の正社員化を実現した労働組合』(平原社、2015年)
  • 『電産型賃金の思想』(平原社、2015年)

編書[編集]

  • 『戦後日本の争議と人間――千葉大学教養部の教育実践記録』(日本評論社、1986年)
    • ドイツ語訳:Japan im Umbruch, Germany: Bund-Verlag, 1989
    • 英訳:The Human Face of Industrial Conflict in Post-war Japan, London: Kegan Paul International, 1999
  • 『大学生が書いた現代日本社会論――千葉大学教養部の教育実践記録』(平原社、1991年)
  • 『戦後史とライフヒストリー――千葉大学教養部の教育実践記録』(日本評論社、1992年)

出典[編集]

  1. 日外アソシエーツ編『新訂 現代日本人名録2002 2.かな~せ』日外アソシエーツ、2002年、212頁
  2. a b 『公募研究シリーズ69 日本労働映画の百年』PDF”. 全国勤労者福祉・共済振興協会 (2017年7月). 2019年12月7日確認。
  3. a b c 日本の労働社会学 / 河西 宏祐【著】 紀伊國屋書店ウェブストア
  4. a b c 河西 宏祐 - 研究者 - researchmap
  5. 企業別組合の実態 : 「全員加入型」と「少数派型」の相剋 : 1985|書誌詳細|国立国会図書館サーチ
  6. 社会政策学会第12回(2005年)学会賞選考結果報告 社会政策学会
  7. 新鐘73 早稲田に聞け!「働く」 学園誌『新鐘』
  8. 「ひと こんな時代にこそ、労働映画の上映会を続ける早大教授」『朝日新聞』2009年6月23日付朝刊
  9. ワセダ教育断想――集まり散じて ノンブル社(2013年3月13日)

外部リンク[編集]