標準和名

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標準和名(:Standard Japanese Name)とは、日本で使われる生物の正式名称である。

概要[編集]

生物の正式名称として学名があるが、学名はラテン語である為、分かりにくく、代わりに標準和名が使われる。

通常、目以下のタクソンには片仮名で表記され、目以上のタクソンには漢字で表記される。

学名と異なり、命名に関する規約は無いが、機関により和名に関する規則を設けていることもある[1][2]

標準和名は、論文や図鑑などで提案される。学名が変更されても、標準和名は変更されない。

同じ種に2つの標準和名が付けられたり[注 1]、別種に同じ標準和名が命名されることもある[注 2]

海外の生物で、知名度や利用価値が無い種は、標準和名がないことが多い。

和名の改名[編集]

標準和名は、学名と異なり、後から命名された和名が一般的になる事もある[注 3]

標準和名に差別用語が使われている場合は、改名されることもある。

例えば、日本魚類学会は2007年に「差別用語が使われている」という理由で32種の魚類を改名している[3]

差別用語を理由に標準和名を改名するのは、賛否があり、「言葉狩りだ」「変えると混乱を招く」「変えても差別は無くならない」との批判もある。

改名案がある種一覧[編集]

現和名 改名案 備考
アホウドリ オキノタユウ

改名された種一覧[編集]

改名前 改名後 改名理由
メクラウナギ ホソヌタウナギ 「メクラ」に差別的な意味合いがあるため
オキナメクラ オキナホソヌタウナギ
クロメクラウナギ クロヌタウナギ
メクラヘビ ミミズヘビ
メクラアナゴ アサバホラアナゴ
オシザメ チヒロザメ 「オシ」に差別的な意味合いがあるため
バカジャコ リュウキュウキビナゴ 「バカ」に差別的な意味合いがあるため
イザリウオモドキ カエルアンコウモドキ 「イザリ」に差別的な意味合いがあるため
ムチイザリウオ ムチカエルアンコウ
ロケットイザリウオ ロケットカエルアンコウ
イザリウオ カエルアンコウ
ボンボリイザリウオ ボンボリカエルアンコウ
ソウシイザリウオ ソウシカエルアンコウ
オオモンイザリウオ オオモンカエルアンコウ
クマドリイザリウオ クマドリカエルアンコウ
イロイザリウオ イロカエルアンコウ
ウルマイザリウオ ウルマカエルアンコウ
エナガイザリウオ エナガカエルアンコウ
ベニイザリウオ ベニカエルアンコウ
カスリイザリウオ カスリカエルアンコウ
ヒメヒラタイザリウオ ヒメヒラタカエルアンコウ
メクラカメムシ カスミカメムシ
セムシクロアンコウ クロアンコウ 「セムシ[注 4]」が差別的な意味合いを持つため
セムシカサゴ ニライカサゴ
セムシダルマガレイ オオクチヤリガレイ
セムシイタチウオ セダカイタチウオ
セッパリホウボウ ツマリホウボウ 「セッパリ[注 5]」が差別的な意味合いであるため
セッパリカジカ ヤマトコブシカジカ
セッパリサギ セダカクロサギ
セッパリハギ セダカカワハギ
ミツクチゲンゲ ウサゲンゲ
アシナシゲンゲ ヤワラゲンゲ 「アシ/テ ナシ」に差別的な意味合いであるため
テナシゲンゲ チョウジャゲンゲ
テナシハダカ ヒレナシトンガリハダカ

脚注[編集]

脚注
  1. 例えば、Rheopresbe kazikaにはアユカケとカマキリという和名がある。
  2. 例えば、ヤマトシジミという和名を持つ種はにいる。
  3. 例として上海蟹の標準和名は、元々「シナモクズガニ」だったが、現在は「チュウゴクモクズガニ」と呼ばれる。
  4. 背中が曲がってしまう奇形の事
  5. 背中が曲がり張り出る病患者の事
出典
  1. 深見 裕伸,、野村 恵一、梶原 健次「「日本産イシサンゴ目の標準和名の提唱と使用のガイドライン」の策定について」、『日本サンゴ礁学会誌』第24巻第1号、日本サンゴ礁学会、2022年、 1-7頁。
  2. 魚類の標準和名の命名ガイドライン」、日本魚類学会、2020年10月25日
  3. “「バカジャコ」はダメ、差別語含む魚30種を改名へ”. www.yomiuri.co.jp. (2007年1月6日). オリジナル2007年1月8日時点によるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20070108012018/https://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070106i507.htm 2023年12月22日閲覧。 

外部リンク[編集]