柏高校吹奏楽部自殺事件

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柏高校吹奏楽部自殺事件(かしわこうこうすいそうがくぶじさつじけん)とは、2018年12月5日市立柏高等学校吹奏楽部所属の男子生徒が自殺した事件である。

概要[編集]

市立柏高校は開校と同時に創部した吹奏楽部が毎年のように吹奏楽部の全国コンクールに出場し、過去には世界大会へも出場したことがあるほどの吹奏楽強豪校である。これほどの実績を挙げる影で長時間練習が当たり前と化しており、平日約4時間、休日約8時間、さらに休み時間も自主練習という建前のほぼ全員が参加する練習を行っていた。

2018年12月5日、吹奏楽部所属の2年生の男子生徒が学校の中庭で頭から血を流して倒れているところを発見され、死亡が確認された。のちに自殺を示唆するメモが見つかり、遺族の要望で設置された市の調査委員会は男子生徒の死因を自殺と認定した。

調査委員会は自殺に至った間接的な原因として部活の長時間練習があると認定。国や県の部活動ガイドラインでは平日の活動時間は2時間、休日の活動時間は3時間までと定めていたが、吹奏楽部はこのガイドランを遵守せず、平日は5時間、休日は11時間に及ぶ長時間活動を行っていたことが判明。授業時間も合わせると1ヶ月で346時間は非休養時間となり、労働者の過労死ラインである240時間を大幅に超過するものであった。

この調査結果を受けて運動部・文化部ともに全ての部活動で活動時間を平日3時間、休日6時間以内とし、活動しない休養日を年間100日以上設定するという方針を策定。2023年度より適用するとした。また本来の活動時間終了後の自主練習も行わないとした。しかしこの規制値は部活動ガイドラインの数値を超過しており、遺族は国に対して柏市へ指導やガイドラインの周知徹底を求めている。[1]

なお調査委員会が設置されたのは自殺から1年後の2019年12月26日で、遺族は2019年2月には調査委員会を設置してほしいと市に要望していた。しかし市側はいじめの事実がないなどあれこれ理由をつけて委員会設置を拒んだ上、事件直後から練習や演奏会を再開するなど遺族への配慮に欠けた対応を取っていた。

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関連項目[編集]