旧かなづかひで書く日本語
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『旧かなづかひで書く日本語』(きゅうかなづかいでかくにほんご)は、萩野貞樹の著書。幻冬舎新書48。2007年8月発刊。全6章。
特色[編集]
本書は読者に現代仮名遣の不当性を説き、歴史的仮名遣を推奨する[1]。文章も歴史的仮名遣による。
章目[編集]
第1章:今日から使へる旧かなづかひ[編集]
ハ行転呼音の表記の仕方など、歴史的仮名遣での表記について個別に述べていく。
第2章:声に出しておぼえる活用[編集]
第3章:正しい五十音を知ってゐますか[編集]
形容詞の連用形のウ音便に始まり、字音仮名遣の不要さ、古くからの表記を守ることの重要さなどを説く。
第4章:新かなに改変の罪は重い[編集]
戦前の小説の文章を現代仮名遣に直したり、当てる漢字をかえたりするのは、作者を冒涜する悪しき行いであると説く。
第5章:舊字、いや正字はカッコいい[編集]
新字体の「芸」がゲイとウンの二語を兼ねていることなど話題をあげて(新字体も含め)現代仮名遣をただす。
第6章:国語を壊さうとした人たち[編集]
新井白石、志賀直哉らの名を挙げ、国字問題に関する見解の一部を紹介する。
誤認[編集]
本書には一部に事実と異なって解釈されうる紛らわしい語句がある。
同書141p
(前略)その果実を体得し伝統として、西暦九百年頃にはかな文字による国語の正書法が確立してゐました。例へば「土佐日記」などの用字法は、発音とは相当のずれが生じてゐたにもかかはらず現在の歴史的仮名遣とほとんど全く一致してゐます。注意すべきなのは、およそ文字をもつやうな言語ならどの言語にあっても、最初の表記法は、歴史のある一段階における言語の観察に従つた音写であるといふ点です。そしてそれに続く人々が先人の表記に対して、ある規範意識を以て向ふことで、正書法が成立します。千年以上前に、日本人はその正書法を確立したわけです。 |
とあり、この部分は、明治時代に始まる歴史的仮名遣が平安時代から存在したとも読めるが、著者は巧みにもそうは言っていない。
書誌情報[編集]
- 萩野貞樹 『旧かなづかひで書く日本語』 幻冬舎〈幻冬舎新書〉、2007年7月26日。ISBN 978-4-344-98047-1。