川口有美子
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川口 有美子(かわぐち ゆみこ、1962年12月18日[1] - )は、社会企業家、福祉事業家、ノンフィクション作家[2]。NPO法人ALS/MNDサポートセンターさくら会副理事長、有限会社ケアサポートモモ代表取締役、日本ALS協会理事[3]。
経歴・人物[編集]
東京都出身。東京学芸大学卒業[2]。1995年に母親が筋萎縮性側索硬化症(ALS)に罹患。同年夏に夫の赴任先のロンドンから帰国し[4]、1996年から実家で在宅人工呼吸療法を開始する[1]。ALS患者の橋本操に学び[4]、2003年に東京都中野区に訪問介護事業所「ケアサポートモモ」を設立[5]。同年に橋本とNPO法人「ALS/MNDサポートセンターさくら会」を設立[6]、医療ケアの研修事業を開始する[2]。この介護者の養成・派遣事業は「サクラモデル」として海外にも知られている[4]。2004年立命館大学大学院先端総合学術研究科に進学。2005年日本ALS協会理事に就任。2009年ALS/MND国際同盟会議理事に就任[1]。母親は2007年に亡くなった[4]。
2010年に母親について書いた『逝かない身体――ALS的日常を生きる』で第41回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。2013年立命館大学大学院先端総合学術研究科博士課程修了。「重度コミュニケーション障害をもつ人のQOLと意思伝達方法」を研究している[3]。
小山宙哉の漫画作品『宇宙兄弟』の設定は、『逝かない身体――ALS的日常を生きる』から影響を受けている[7]。
著書[編集]
単著[編集]
- 『逝かない身体――ALS的日常を生きる』 医学書院(シリーズケアをひらく)、2009年
- 『末期を超えて――ALSとすべての難病にかかわる人たちへ』 青土社、2015年
共著[編集]
- 『教育学の探究――教師の専門的思索のために』 佐藤博志編著、照屋翔大、木村裕、高橋望共著、川島書店、2013年
- 『特別授業"死"について話そう』 伊沢正名、遠藤秀紀、角幡唯介、最果タヒ、酒井順子、佐々涼子、佐治晴夫、島田裕巳、園子温、徳永進、中森明夫、畑正憲、本郷和人、元村有希子、森川すいめい、湯山玲子、和合亮一共著、河出書房新社(14歳の世渡り術)、2013年
- 『病と障害と、傍らにあった本。』 齋藤陽道、頭木弘樹、岩崎航、三角みづ紀、田代一倫、和島香太郎、坂口恭平、鈴木大介、與那覇潤、森まゆみ、丸山正樹共著、里山社、2020年
- 『見捨てられる「いのち」を考える――京都ALS嘱託殺人と人工呼吸器トリアージから』 安藤泰至、島薗進編著、大谷いづみ、児玉真美共著、晶文社、2021年
- 『不安の時代に、ケアを叫ぶ――ポスト・コロナ時代の医療と介護にむけて』 新城拓也共著、青土社、2022年
編著[編集]
- 『在宅人工呼吸器ポケットマニュアル――暮らしと支援の実際』 小長谷百絵共編著、医歯薬出版、2009年
- 『在宅人工呼吸器ケア実践ガイド――ALS生活支援のための技術・制度・倫理』 小長谷百絵共編著、医歯薬出版、2016年
監修[編集]
- 『たんの吸引などをヘルパーさんにお願いするための手引き』 ALS/MNDサポートセンターさくら会、2012年
分担執筆[編集]
- 澁谷智子編著『女って大変。――働くことと生きることのワークライフバランス考』 医学書院、2011年
- 大林雅之、徳永哲也責任編集『シリーズ生命倫理学 8 高齢者・難病患者・障害者の医療福祉』 丸善出版、2012年
- 浅見昇吾編『死ぬ意味と生きる意味――難病の現場から見る終末医療と命のあり方』 Sophia University Press上智大学出版(上智大学新書)、発売:ぎょうせい、2013年
- 杉田俊介、瀬山紀子、渡邉琢編著『障害者介助の現場から考える生活と労働――ささやかな「介助者学」のこころみ』 明石書店、2013年
- 大野更紗『さらさらさん』 ポプラ社、2013/ポプラ社(ポプラ文庫)、2015年
- 田島明子編著『障害受容からの自由――あなたのあるがままに』 シービーアール、2015年
- 佐々木淳編著『これからの医療と介護のカタチ――超高齢社会を明るい未来にする10の提言』 日本医療企画、2016年
- 大野更紗、開沼博『1984フクシマに生まれて』 講談社(講談社文庫)、2014年
脚注[編集]
関連文献[編集]
- 紀田順一郎ほか編 『現代日本執筆者大事典 第5期 第2巻: こ-な』 日外アソシエーツ、2015年
- 美馬達哉 『脳のエシックス――脳神経倫理学入門』 人文書院、2010年