小池和男 (労働経済学者)

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小池 和男(こいけ かずお、1932年7月18日 - 2019年6月18日)は労働経済学者。法政大学名誉教授。経済学博士。日本の競争力の産業基盤は知的熟練にあるとした「知的熟練論」を展開したことで知られる。

概要[編集]

1932年7月18日新潟市に生まれる。1955年に東京大学教養学部を卒業し、1957年、東京大学大学院経済学研究科修士課程修了。1960年、東京大学経済学研究科応用経済学(博士課程)[1]

1960年に東京大学社会科学研究所助手に就任する(1963年まで)。1963年9月23日、博士論文『日本の賃金交渉 : 産業別レベルにおける賃金決定機構』により経済学博士(授与番号不明)。

1963年から法政大学経営学部専任講師となる、その後、助教授。1970年、名古屋大学経済学部助教授となる。その後、教授。1980年、京都大学経済研究所教授となる。1983年、文部省科学官併任。その後に京都大学経済研究所所長。1988年、法政大学経営学部教授となる。一橋大学大学院、早稲田大学大学院講師併任。1991年、スタンフォード大学ビジネススクール客員教授となり人的資源管理論など2科目を担当する[2]。2004年、法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授に就任。

2019年6月18日肺炎のため千葉県浦安市の病院で死去、86歳[3]。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は長男小池元(げん)。

知的熟練論[編集]

知的熟練論は小池和男により1980年代末に提唱された理論(仮説)である。当初は主としてブルーカラーをベースにした「知的熟練」であった。すなわち工場などの繰り返し作業とは異なる、工程トラブルなどの突然の変化への対処能力を身に着けること、トラブルの原因推理力を育成することなどを指し、作業者から現場監督職へのキャリア形成を含む「統合型技能形成」が日本の製造業の現場を支えているとした[4]

その後、小池和男はホワイトカラーを対象とした「知的熟練論」を展開した[5]が、ベースとなる理論はブルーカラーで形成した理論を拡張したものとなっている。

受賞[編集]

  • 1978年、エコノミスト賞
  • 1979年、サントリー学芸賞
  • 1996年、紫綬褒章
  • 2009年、読売・吉野作造賞[6]
  • 2014年、文化功労者[7]

参考文献[編集]

  1. 小池和男
  2. 小池和男
  3. 小池和男氏死去(法政大名誉教授・労働経済学)
  4. 村松久良光(2011)「生産現場の知的熟練は2000年代にどう変わったのか」『日本労働研究雑誌』 53(1)、pp.42-50
  5. 小池和男(2005)『仕事の経済学(第三版)』東洋経済新報社
  6. 小池和男名誉教授の「読売・吉野作造賞」受賞記念講演を開催
  7. 小池和男名誉教授が文化功労者に選出されました