埼玉児童性的虐待事件
埼玉児童性的虐待事件(さいたまじどうせいぎゃくたいじけん)とは、2004年から2005年にかけて埼玉県の民間児童養護施設で発生した一連の虐待事件である。第1の事件は、男性指導員が10代の入所少女に行った性的虐待事件である。第2の事件は、女性保育士が10代の入所少年に行った性的虐待事件である。この他にも同施設で複数の職員が身体的虐待を加えていたことも確認され、施設側は職員ら4人を懲戒解雇した。
第1の事件[編集]
2004年3月、男性指導員は自宅で少女に性的関係を強要した。2005年3月には、男性指導員に手錠や玩具などを使う事を要求され少女は逃げ出した。
2005年4月29日、少女が宿直補助の女性職員に相談したことでこの事件が発覚した。
同年4月29日、男性指導員は経過報告と反省文を法人理事長に提出し、依願退職で処理する方向が決定した。施設長と男性指導員は翌日、少女の自宅を訪れ謝罪したが父親に殴られた。
同年5月26日、内部告発情報が児童相談所に寄せられ、県は事態を把握する。県は男性指導員を懲戒解雇とした。
第2の事件[編集]
2004年から2005年にかけ、女性保育士は少年を自宅に呼び出すなどの行為を行い性的関係を持った。別の男女職員2人も女性職員が少年と会う手助けをした。
2006年6月25日、少年が別の女性職員に相談したことでこの事件が発覚した。同日、連絡を受けた主任職員2人は少年に事実を確認した。
同年6月26日、施設長が少年に事実を確認した。また、女性保育士ら3人に聞き取り調査を行い、その3人に出勤停止を命じた。27日午前に緊急理事会を開き、午後に施設長が県にこの事件を報告した。
同年6月下旬から7月上旬にかけて、施設の心理士2人が実態調査に乗り出した。その結果、職員8人の虐待加害者の名前が挙がった。埼玉県は同年7月12日に施設に立ち入り調査を行った。
同年7月27日付の改善勧告では、少年と性的関係を持った女性保育士のほか、過去十数年間で男児6人、女児2人に対して暴力を振るった男性1人、女性7人の職員の行為を正式に「虐待」と認定した。少年は女性保育士のことを「思い出すのも嫌」と話し刑事告発は見送られた。
対応[編集]
事件が報道される直前、県児童養護施設・児童自立支援施設協議会は8月15日、さいたま市内で緊急施設長会議を開いた。また、公明党県議団は8月21日、上田清司知事に再発防止を徹底するよう要望書を提出した。その結果、児童養護施設での問題行為が複数報告されることになった。
埼玉県は11月9日、施設の自己点検や県の調査の結果として、県所管の18の施設のうち問題の施設を含む5施設で性的虐待や体罰を新たに確認したと発表した。問題となった施設には改善勧告や指導通知を行った。