国鉄103系電車1000番台
国鉄103系電車1000番台(こくてつ103けいでんしゃ1000ばんだい)とは、かつて常磐緩行線及び営団地下鉄千代田線で走行していた電車である。
誕生の背景[編集]
国鉄では当時103系が製造中で最も盛んだった。1970年代前期に入ると千代田線が開通。それに伴い地下鉄専用に開発が行われた。103系を地下鉄でも走ることができると大いに期待があった。
性能[編集]
車体には不燃材料を採用した形となった。地下鉄の高速化に対応するため運転席の横にあった戸袋窓は付けなかった。従来の抵抗によるモーター制御を行なっていた。
ただし、バーニア制御を併用するなど103系の原型車とは異なる点も多かった。
問題点[編集]
地上で活躍していた時代はそこそこ評価があった。しかし、103系系列は登場から10年経過しており、技術面においても営団6000系より遥かに後塵を拝していた。地下鉄東西線では301系はアルミ車体のため、103系1200番台も千代田線より緩勾配のため、それほど問題にはならなかった。
実際に地下鉄千代田線を走るとブレーキからの熱でトンネル内の温度が上昇。地下鉄線内は冷房は持たず熱を自然の力で外に出す「自然通風式」が採用されていた。そこに問題があった。駅や車内に熱がどんどんこもって行き逃げ場を失った熱はモーターに付きまとい床が焦げるなどの損傷も生じていた。
国鉄でもそれらの問題点を看過できず、201系の技術を踏まえ、203系の開発に取り組んでいった。
その後[編集]
地下鉄・常磐緩行線で事実上用済みとなった103系1000番台は、常磐快速線に転用されたが、折も折、追加投入が望まれた105系の改造種車として白羽の矢が立ち、約3分の1が105系(1000番台など)に改造された。
その105系の改造車も2021年3月をもって営業運転を終了しており、103系1000番台由来の現役車両は現存しない。