冗長化

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冗長化(じょうちょうか)とは、機器の故障などが発生しても、業務やサービスの提供を継続できるように、機器を複数用意して、もし1つの機器が故障しても予備の機器が動作し、サービスを続けられるようにすることである。

概要[編集]

複数の機器を用意することによって、コストでは倍もしくはそれ以上がかかるが、特に人命が関わるインフラにおいては冗長化は重要な概念である。たとえば複数の発電所を用意し発電を行うのは、負荷分散と、地理的に別な場所に発電設備を設けることによる冗長化と考えることもできる。

ふだんサービスを提供する機器群を主系とか稼働系とか呼び、対して普段は予備として動作又は待機している機器群を、副系とか予備系などと呼ぶ。

予備系の待機の仕方によって、機器のみを設置し主系が落ちた時点で起動させるやり方(コールドスタンバイ)や、起動させておいて主系が落ちたときに接続を切り替えるやり方(ホットスタンバイ)、予備系にも主系と同じデータ入力・動作をさせておいて、主系が落ちても即座に同じ処理を予備系で続けられるやり方などがある。

冗長化の範囲は場合により、重要なシステムであれば電源から冗長化を行う。つまり、複数の系統から受電し、あるいは自家発電装置を設置し、それぞれ主系・予備系を完全に分担し、停電時も動作するよう設計する。複数個の設置が出来ない機器(主系・予備系の切替機器など)は、2つ以上の電源入力を持つものを選定し、複数系統より電源を供給する。

航空における冗長化[編集]

航空機は大きなものでは一度に数百人を運び、墜落すると場合によっては地上の人をも巻き込む大惨事となり得る。そのため、高いレベルでの冗長化が求められる。たとえばエンジンが複数付いている航空機は、動力について冗長化がなされているといえる。

操縦室の冗長化

操縦装置は複数設けられ、常に複数人の操縦士が操縦室に居る。これも冗長化のひとつであり、片方の操縦士が死亡したり操縦不能に陥っても、飛行を続けられるようになっている。平時では2人の操縦士が互いの計器や操作を監視し合う。

例えば離陸時には80ktに達した時点で「エイティ」とコールアウト(声出し確認)することが定められ、その時点で速度計の表示に差があれば即座に離陸中止を決定するべきとされる。その他のすべての動作においてもコールアウト、復唱、実行、確認の手順が要求される。これはCRM(Crew Resource Management、乗員の能力を最大限に引き出すための共同作業)の観点からも推奨され、これが行われていない場合、副操縦士は「ただの案山子ですな」と評されることとなる。最悪の場合、バージェン航空301便や大韓航空8509便のような事故に繋がる。

また遠距離便は操縦士が交代し、休憩しながら乗務できるよう、多人数で乗務する。機長が操縦不能となっても、指揮系統が混乱することの無いよう、事前に指揮順位が決められており、コックピット内で一番指揮順位が高いものが機長となる。指揮順位はPIC(Pilot in command、第一指揮順位機長)、SIC(Second in command、第二指揮順位機長)、のように表される。その後は、副操縦士、航空機関士などと続く。これが上手く行かないと、エールフランス447便のような事故に繋がる。

おトイレなどで操縦士が席を外す際は、操縦室が1人となるため、残った1人はフルフェイスの酸素マスクの着用が求められる。また食事も食中毒や細菌汚染により全員が操縦不能となることの無いよう、別のものを食べると決められている。この規則は航空サスペンス小説由来とも噂されるが真相は不明。

操縦系統の冗長化

操縦室から翼まで操作を伝える油圧系統も、3重から4重の冗長化がされている。この油圧系統が集中する尾部が損傷し、全油圧系統を喪失したため操縦不能となったのが日本航空123便である。しかし、油圧系統が損傷しても最低限の操作ができるよう、フラップは電気系統でも動作するようになっている(動作速度は遅い)。また、車輪は格納ドアのロックを外すことで、自重で降り始め、風圧により所定位置に固定される設計となっている。

自動操縦装置については、演算用のコンピュータを3台積む。これは民主主義の最低単位と呼ばれるように、1台が故障した場合でも多数決によりこれを検知できるようにするためである。

エンジンの冗長化

エンジンは複数積んでいる場合であっても最低1発で最低限の飛行が継続できるよう設計される。バードストライクなどで離陸中にエンジンが使用不能となる事態も想定し、訓練が行われている。飛行を継続しながらエンジンの再点火や空港への帰還・代替着陸が行われる。

エンジンがすべて使用不能となった場合は、一部の大型機下部に装備される発電プロペラ「ラムエアタービン(ラムたん)」が飛び出し、または地上での発電用補助エンジンであるAPUが動作し、最低限の電力を計器などに供給する。そして滑空しながらエンジンの再点火を試みることとなる。なお、プロペラ機では空気抵抗を減らすためのフェザーシステムが装備され、エンジン再点火が不可能と分かった時点でフェザーとし、プロペラのせいで速度・高度のエネルギーが失われないように対応する。

燃料の冗長化

燃料は、常に目的地までの飛行分に加え、目的地での着陸やり直し3回、目的空港が閉鎖されたときに備える代替空港への飛行分、そして代替空港での着陸やり直し3回まで行える分の搭載が求められている。搭載には機内複数のタンクが用いられ、万が一1つのタンクが破壊されるなどしても、飛行が継続できるようにされる。また航空燃料は不純物に弱いため、空港では給油毎に少量のサンプルを採取し、万が一の事故の際の調査に役立てている。

その他

政府専用機などの特殊な用途の機は、2機以上が用意され、それぞれ本務機と随行機として運用される。訓練以外の飛行の際は常に2機同時に飛び、機体故障などに備える。米国では本国で待機する3機目もあるとか。

コンピュータにおける冗長化[編集]

サーバーでは複数のサーバーを主系・予備系として用意したりされる。身近な冗長化としては、RAIDで冗長化されたストレージが挙げられる。これは、データ書き込み時に自動的に複製ディスクにも同じデータを書き込んだり、1台が故障してもデータを救出できるようなパリティデータを書き込む方法である。

エンペディアにおける冗長化[編集]

サーバー運用者であるrxy氏を培養し、冗長化することが検討されている(Enpedia:Rxyが足りない)。

また、最上位スタッフとして篠田氏を任命し、業務を分担している。これも一種の冗長化と言えるかもしれない。