五月の風

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五月の風』(ごがつのかぜ Sweet Breeze in May)は、真島俊夫作曲による1997年度全日本吹奏楽コンクール課題曲

概略[編集]

6/8拍子の行進曲(マーチ)である。作曲者の真島は1985年に「吹奏楽のための交響詩 波の見える風景」、1991年に「コーラル・ブルー 沖縄民謡「谷茶前」の主題による交響的印象」を作曲しており、課題曲に選ばれたのは本作が3回目である。また、吹奏楽コンクール課題曲の中では、本作が真島にとって初の行進曲である。

真島は本作に対して「吹奏楽の高度な曲に挑戦するのも素晴らしいことであるが、吹奏楽の原点には、常にマーチがあると思う。そして、この曲は標題音楽ではないが、全体的に爽やかな"五月の風をイメージ"して欲しい」と述べている。

本作は非常に人気があり、全国大会では全96団体中半分以上の52団体がこの課題曲を選んだ。特に大学の部では全12団体中11団体がこの課題曲を選んだ。

構成[編集]

真島自身が「日本人が苦手な」と曲頭辞で述べている8分の6拍子で書かれており、形式としても典型的なスーザスタイルであるが、曲の半ばでリタルダンドが入るなど、コンサートマーチの様式も採り入れている。

金管ファンファーレに木管群が呼応する形で曲が始まり、爽やかな5月の風を思わせる第1主題が流れる。金管低音群にフルートクラリネットが応酬する第2主題が2回繰り返された後、曲はトリオに入って下属調に転調する。クラリネットとサックスによるゆったりとした主旋律に、フルートとピッコロが奏でる装飾的な旋律が小鳥の囀りを想起させる。トリオも2度繰り返された後、金管群と木管が呼応して曲はさらに展開され、リタルダンドを経てから第三部を迎える。第三部の旋律は、トランペットとクラリネットが奏する主旋律、金管低音群が奏でる裏旋律に、第二部から引き続き木管高音群が奏でる装飾的な旋律が融和し、曲を終える。

参考文献[編集]

  • CDブラス最前線! 真島俊夫作品集(KICC-700)の解説