上田育弘
上田 育弘(うえだ いくひろ、1963年 - )は、日本の実業家、元弁理士。個人名義で商標登録出願を出しまくっている人物。
概要[編集]
大阪大学工学部金属材料学科を卒業後、大手自動車メーカーに入社するも6年で退社。東京大学大学院法学政治学研究科修士課程を修了する。1994年より弁理士としての活動を開始するも、2013年4月10日付で日本弁理士会から会費滞納を理由として退会処分を受け[1]、弁理士登録が抹消され[2]、弁理士として業務を行うことができなくなった。
弁理士登録抹消後、自身及び『ベストライセンス株式会社』[† 1]の名義で、何故か極めて多くの商標の登録出願を開始[3]。そのほとんどは手数料を支払っていないために却下されている[4]が、却下されるまでの間に、すでに商品名などを使用していた他社が使用や商標登録を断念するといった影響が生じているため、特許庁がホームページに警告文を発表している[5]ほか、厳しく目をつけられている[6]。個人名義で商標出願を大量に出して2014年の商標出願数が2位と大差で1位となった。翌2015年の商標出願数は1位がベストライセンス、2位が上田育弘となっている。
2015年の年末時期を除いた商標出願はベストライセンスと上田育弘を合わせて6,656件で全体の商標出願の約13%にものぼっている[7]。そのため、たびたびネットでも話題になった[8]。
2016年10月5日にはピコ太郎の楽曲『ペンパイナッポーアッポーペン』(商願2016-133239)と『PPAP』(商願2016-108551)などの略称を出願、同時期に『PPAP』の商標出願を行っていたエイベックス・グループ・ホールディングスとの間でトラブルとなっていることが話題となった[9]。上田はニュース番組『ユアタイム』(フジテレビ)の取材に対し「正当な競争。先に出願してるから当社(ベストライセンス株式会社)の勝ちなんですよ」と答えた。ベストライセンスおよび上田は、ピコ太郎やエイベックスと何の関係もなく、先に商標登録して権利を得ることで利益につなげることを目的していることを公言している[4]。
しかし、これらの出願は、他人の周知・著名商標等と紛らわしい場合や、公共の機関の標章と紛らわしい等公益性に反する場合等には、商標法第4条に該当して商標登録されることはない[10]。また、仮に商標登録されたとしても、曲名や歌詞に用いることは商標の使用にはあたらないため、制限されない。さらに、商標法第29条では、商標登録出願の日より前に生じた他人の著作権、著作隣接権に抵触する商標は使用できないとされているため、『PPAP』の著作者であるピコ太郎本人がCDや関連グッズ販売を含む『PPAP』の使用には障害が無いと見られている。
特許庁[編集]
特許庁は2016年5月17日に「自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意)」というお知らせをホームページで公開[11]。一部の出願人の方から他人の商標の先取りとなるような出願などの商標登録出願が大量に行われているが、ほとんどが出願手数料の支払いのない手続上の瑕疵のある出願となっているとした。これらは一定の期間で出願の却下処分が行われており、出願料が払われていても出願人の業務に係る商品・役務について使用するものでない場合、他人の著名な商標の先取りとなるような出願や第三者の公益的なマークの出願である等の場合は商標登録されないとしている。そのため、商標出願がされていても、商標登録を断念しないように注意を呼び掛けている。この一部の出願人が上田育弘を指しているかは明言がないので不明だが、話題になった。
出願した商標[編集]
上田育弘が商標出願をしたもの、なお、出願はされているが、必ずしも受理されたわけではない。
- じぇじぇじぇ
- 倍返し
- ラブライブ
- 民進党
- STAP細胞はあります
- サイバーエージェント
- PPAP
- ポケモンGO
- 立憲民主党[12]
- 『MOBILE』の冒頭にAからZまでのアルファベット1字を加えたもの(携帯電話会社への当てつけか?)
関連項目[編集]
註釈[編集]
- ↑ ベストライセンスの登記上の所在地が、上田の現住所とそっくりそのまま同じだった。これで同一性がないという方がおかしい。
出典[編集]
- ↑ 日本弁理士会会報 JPAAジャーナル 2013年7月号 2013年7月16日発行
- ↑ “弁理士登録公告”. 日本弁理士会 (2013年4月10日). 2017年1月31日確認。
- ↑ “商標乱発、国全体の1割出願 男性「あくまでビジネス」”. 朝日新聞社. (2016年6月30日) 2017年1月31日閲覧。
- ↑ a b “無関係の第三者がピコ太郎さんの「PPAP」を商標出願”. 2017年1月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年9月23日確認。
- ↑ “自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意)” (プレスリリース), 特許庁, (2016年5月17日) 2017年1月31日閲覧。
- ↑ “PPAPなど大量に…“商標出願”社長は特許庁でもいわくつき”. 日刊ゲンダイ. (2017年1月26日) 2017年1月31日閲覧。
- ↑ ベストライセンス | 弁理士 越場洋のブログ
- ↑ 2016年5月17日、ねとらぼ「特許庁が商標登録で注意呼びかけ 「一部から先取りとなるような出願が大量に行われている」」
- ↑ “ピコ太郎、「PPAP」ピンチ!? 無関係の企業が特許庁に商標出願”. 産経新聞社. (2017年1月26日) 2017年1月31日閲覧。
- ↑ 出願しても登録にならない商標 特許庁
- ↑ 特許庁サイト「自らの商標を他人に商標登録出願されている皆様へ(ご注意)」
- ↑ “枝野氏結成の「立憲民主党」…あのベストライセンス社に「商標出願」されていた!”. 弁護士ドットコムNEWS (Bengo4.com). (2017年10月2日) 2017年10月2日閲覧。