ワイアーヘアード・ビーグル
ワイアーヘアード・ビーグル(英:Wire-haired Beagle)は、イギリスのウェールズ原産のセントハウンド犬種のひとつである。
歴史[編集]
通常のビーグルと同年代に誕生した犬種で、ビーグルの弟分の犬種である。ビーグルに耐久力を与えるため、ワイアーヘアのウェールズ系ワーキング・テリアの一種を掛け合わせて作り出された。
主にパックでノウサギなどを狩るのに用いられた。獲物のにおいを追跡し、発見すると吠えて主人とパックのメンバーに知らせ、犬同士が協力して仕留めていた。ウェールズでは通常この犬を使ってノウサギを狩るとき、パック全ての犬を同種にして狩りを行っていたが、イングランドでは通常のビーグルと混ぜてパックを構成するといった方法が行われていた。
しばらくの間ビーグルとワイアーヘアード・ビーグルは共存関係にあったが、1900年代になると完全にビーグルが人気を奪い去り、需要は激減してしまった。そして第二次世界大戦の戦禍により生き延びることが出来なくなり、絶滅してしまった。
ワイアーヘアードが不人気となってしまったのには、数点の原因があった。ビーグルは実験動物に使われるほど遺伝子レベルで安定した気質・性質を持つのに対し、ワイアーヘアードは気質に難があり、生粋の実猟犬として作出されたこともありビーグルと比べると扱いがやや難しかった。テリアの血により気が強く、グリフォン系(剛毛の猟犬種のグループのひとつ)の血により頑固だった点もその一因だったとされる。見栄えがするためショードッグとして生き残る可能性も残されていたはずだが、現在そうして生き残っていないところを考慮すると、やはり気性の点が引っかかった可能性が高い。
特徴[編集]
体型などは現在の実猟用のビーグルと同じであるが、体じゅうを硬く厚いワイアーコート(ラフコート)に覆われている。このコートにより非常に寒さに強いだけでなく、雨風や茨、獣の牙から身を守ることが出来た。眉毛や口髭、顎鬚もふさふさしていて、土ぼこりなどから目や口を守ることが出来る。毛色はタンやタン・アンド・ホワイト、ビーグルと同じハウンドカラーなどがある。引き締まった体つきをしていて、ほんの少し足が短い。マズルは先が丸く、頭部や体の形はやや角ばっている。耳は垂れ耳、尾は垂れ尾。小型犬サイズで、性格は忠実で勇敢だが、やや頑固で気が強い。生粋の猟犬種で、獲物のにおいを追跡することが大好きである。運動量は非常に多く、吠え声もビーグル同様大きくよく響くので、本種は家庭犬として飼育するのには不向きである。かかりやすい病気はコートが目に入っておこる眼疾患や、地肌が蒸れて起こる皮膚炎などがあったとされる。
関連項目[編集]
- [犬の品種一覧]]
- ビーグル
- ウェルシュ・ハーリア
- ウェルシュ・フォックスハウンド