遺伝子

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遺伝子(英:gene)は、生物の形質を規定し、遺伝と多様性の礎となる単位因子で、DNAの塩基配列としてその情報が担われている。分子生物学においてはDNAの一領域と定義されるが、遺伝子の働きや制御が明らかになるにつれ、その領域を明確に定義することが難しくなり、概念と実体の整合性に関し議論されている。

遺伝子の種類[編集]

遺伝子にはタンパク質コード遺伝子と機能性RNA遺伝子があり、それぞれを構成するための情報がDNAあるいはRNAを分子媒体として記録されたものである。平たく言えばDNAの一部分という事になるが、DNA上の遺伝子部分は単独で存在せず、いつどこでどのように使われるのかを規定する制御配列と呼ばれる部分を伴っている。つまり個体発生(形成)や環境応答、組織特異的な発現である。制御配列は、機能配列(タンパク質を作るための指令や機能性RNAとして働く部分)の近傍に存在する場合が多いが、数千塩基離れた位置に存在する場合があることも示されており、その本質は完全には理解されていない。これが遺伝子をはっきり定義づけることを難しくしている要因である。

タンパク質をコードする遺伝子からは遺伝暗号表に従って、塩基配列からタンパク質が作られる。機能性RNAの遺伝子はゲノムDNAからRNAに転写された後、立体的な折り畳みと化学修飾を受け、機能性RNAとして成熟する。機能性RNAには、mRNA, tRNA, miRNA, snRNA, snoRNAなどの種類が知られ、それぞれに異なる重要な役割を果たしている。

遺伝差別[編集]

人が固有に持つ遺伝子や遺伝的特徴によって差別的な扱いを受けることである。就職や結婚、保険加入などで起きることが懸念されている。遺伝情報を活用するゲノム医療が実用化されつつあり、体質などを知るため個人の遺伝情報を分析する民間の遺伝子検査ビジネスも広がっていることから対応を求められている。欧米では人のゲノム解読が進んだ2000年前後に議論が活発になり、差別を禁じる法律が出来た国もある。日本国内では超党派の議員連盟が検討しているゲノム医療推進法の中に差別への対応を盛り込む議論が行なわれている。

関連項目[編集]