ラブラドール・レトリーバー

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ラブラドール・レトリーバー(ラブラドール・レトリバー、あるいはリトリーバーとも。英:Labrador Retriever)は、大型犬に分類される犬種の一つ。

元来、レトリバー(回収する犬―Retrieveする者)と呼ばれる猟犬の一種であるが、現在はその多くが家庭犬として、あるいは盲導犬警察犬などの作業犬として飼育されている。

歴史[編集]

「ラブラドール」という名前はカナダラブラドル半島に由来するが、当該犬種は同半島の原産種ではない。ニューファンドランド島に生息していたセント・ジョンズ・レトリーバー(現在は絶滅)及びニューファンドランド犬を交配し、19世紀に作出された犬種である。ニューファンドランド犬との混同を避けるため、後年イギリスのマームズベリー伯爵によりラブラドールと名付けられた。

ラブラドール・レトリバーの祖先となった犬種は、カナダ東海岸のラブラドル海流が織り成す氷の張った海中において、海中に流された漁網の牽引、漁網から脱落したニシンタラの回収及びこれに付帯する諸作業に従事していた。ところが、犬の所有に対し高額な税金の納入が義務付けられ、頭数は減少していく。19世紀前半、ニューファンドランド島から塩ダラ運搬船に乗って数頭のラブラドール・レトリーバーがイギリスへ持ち込まれ、他のレトリーバーと交配させることで絶滅の危機を潜り抜けた。

当初の性格は頑固であったが、1880年頃から従順で訓練性の高い犬に改良され、打ち落とした水鳥の回収犬、運搬犬及び警察犬としても利用されるようになった。現在では、盲導犬聴導犬介助犬災害救助犬麻薬探知犬といった多様な仕事を任され、家庭犬としても根強い人気を得ている。

1903年、英国ケネルクラブに認定され、1917年にはアメリカンケネルクラブから認定を受けた。イギリスにおける犬種別出産登録数では、ここ数年、2位以下に大きな差をつけてラブラドール・レトリバーが首位を維持している。またアメリカにおいても、ラブラドール・レトリバーは10万頭を超える圧倒的な登録数で首位を占め続けている。現在、ラブラドール・レトリバーは世界で最も飼育数の多い犬種の1つである。

外見[編集]

  • 雄は体高57~62cm、体重29~36kg、雌は体高54.5~59.5cm、体重25~32kg程度
  • 色はイエロー・ブラック・チョコレートの3種類
  • 被毛はダブルコートと呼ばれる構成であり、太く長めの被毛の間に短く細く柔軟な被毛が密に生え、艶やかである
  • 尾はオッター・テイル(カワウソの尾)と言われるように、根元が太く、力強い
  • 頭部は広く、しっかりとした顎を持つ

特性[編集]

  • 外見から大人しい性格と見られがちだが、非常に好奇心旺盛で活動的、社交的である
  • 献身的な精神を持ち、家族には深い愛情を示す
  • 体が大きく、力が非常に強い
  • 水遊びを非常に好む
元来、海中で働いてきた犬種であるため。海や川、湖を見つければ喜んで近づこうとするが、中には泳げない個体もいる。
  • 本来寒さには強いが、冬季になると暖房機から離れようとしないものが多い
  • 他の犬に対しても友好的な態度をとることが多く、利口な犬種であるため、他の犬種に比べ躾をしやすい
  • ゴールデン・レトリバー同様、非常に人なつっこいため番犬の適正はない
  • 食欲旺盛
  • 病気への抵抗力が強い体質
  • 20km/hで走行
  • 平均寿命12歳

飼育にあたっての留意点[編集]

  • 人気犬種共通の問題であるが、乱繁殖による股関節形成不全アレルギーなどの遺伝性疾患を持つ個体が出ることがある。
  • 個体差によるところが大きいが、生後2年から3年未満のものは好奇心旺盛で極めて活発に動き回る。また、家具や柱などをかじったり、破壊する行動がまま見られる。力も強いため想像以上の被害にあうおそれがある。
  • 活発な性格である。盲導犬や介助犬のイメージから大人しい犬と思われがちだが、それは訓練による結果である。躾を誤ると手に負えなくなる可能性もあり、飼いきれなくなった飼い主により虐待や放棄される例も多い。
  • 人に対しては非常に友好的ではあるが、それが災いして年齢や性格によっては初対面の人に対し興奮が治まりにくく、(友好の意味で)じゃれて急に歩行者などに飛びつく事がある。
  • かなりの運動量を要求される。

有名なラブラドール・レトリバー[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]