フェーン現象
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フェーン現象(フェーンげんしょう)とは、空気が山から吹き降りる際に、暖かく乾燥した風となり風下側で局地的に高温となる現象のことである。
概要[編集]
フェーンとは「アルプスを吹き下りる風」を意味する。
最初に低いところにあった湿った空気が山肌に沿って上昇する際、急速に冷えて空気中の水蒸気が雨粒となり雨を降らせるとされている。乾いた空気は湿った空気よりも温度の変化の幅が大きいので[1]、空気の温度は上昇に伴って下がり、下降と共に平地では上昇前よりも高温となる。
日本での例[編集]
山を越える前に比べて高温となるケースが日本国内におけるフェーン現象の典型例とされている。
- 5月下旬に風が十勝の山地を越えて、北見市が時季外れの高温になる。
- 夏秋に太平洋側の南風が中央高地や奥羽山脈を越えて、日本海側で高温になる。乾燥しているので糸魚川市大規模火災のように大規模な火災の原因になりやすい。
熱力学[編集]
フェーン現象は熱力学でいう断熱変化が自然の気象で現れる現象である。
外からの熱の出入りがない状態で、風で運ばれる空気や水蒸気等の気体が大気圧が低下する山上を駆け上がるにつれ膨張され温度が下がり、山上から平地を駆け降りると、降雨・降雪で水蒸気が消滅した空気は大気圧の上昇によって圧縮されて温度が上昇する。
関連項目[編集]
- 雨
- 風
- ボーラ現象 - フェーン現象に対して、強風時に気温が低下するものをこう呼ぶ。
- からっ風
- 気象病
- 気温
- チヌーク
- ヘアドライヤー - ドイツ語のFöhnは、ヘアドライヤーの意味でも使われる。これが伝わって、チェコ語(fén)、ロシア語(фен、フェーン風の方はфёнと使い分ける)、ウクライナ語(фен)などでも同様である。
参考文献[編集]
脚注[編集]
- ↑ 飽和していない空気塊は1K/100mで減少し、乾燥断熱減率という。飽和に達して水蒸気の凝結を伴う場合は0.5K/100mで減少し、湿潤断熱減率という。