オートバイ

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
バイクから転送)
ナビゲーションに移動 検索に移動

オートバイとは、原動機(エンジン)を有する二輪のもしくは三輪の自動車である。日本においては排気量125cc以上のオートバイを「大型・普通自動二輪車」として分類し、125cc未満のオートバイは「小型自動二輪車(第二種原動機付自転車)・原動機付自転車(第一種原動機付自転車)」として分類される。

ホンダのオートバイであるCB223S

名称[編集]

「オートバイ」は和製英語であり、英語圏ではモーターサイクル(motorcycle)、ドイツ語ではモトラド(二輪車。空を飛ばないものだけを指す)と呼ばれる。日本ではオートバイのほかにバイクや単車と呼ばれることもあるほか、排気量が400ccを超えるものは「大型バイク」、50cc未満のものを指して「ミニバイク」や「原チャリ」と呼ぶことも多い。

概要[編集]

前後に車輪を設け、内燃機関チェーンを介して後輪を駆動するのが一般的である。一部のバイクについてはドライブシャフトを用いて動力を伝達するものもある[注 1]。動力源はガソリンエンジンがほとんどであるが、近年ではモーターにより駆動する電動バイクも普及しはじめている。

四輪自動車と比べると小回りがきくため、身軽に走ることができる。そのため郵便新聞の配達などに多く利用されている。一方、二輪故の安定感のなさもあり、すり抜けや狭い道でのUターンなどには技術を要する。

軍用バイクも存在しており(「陸王」「くろがね」が知られる)、かつての馬を使った偵察の代替となった。日本の陸上自衛隊においては作戦時や災害時における拠点間の連絡や偵察・調査を目的として偵察用バイクが使用されている(カワサキ・KLX250などをベースとしたもの)。

免許[編集]

日本の公道を走行するためには、オートバイでも運転免許が必要である。このうち原動機付自転車免許は普通自動車免許に付帯するものの、それ以上の小型自動二輪(~125cc)、普通自動二輪(~400cc)、大型自動二輪(400cc~無制限?)については免許取得が別途必要である[注 2]。このうち大型自動二輪免許以外は16歳から取得でき、原動機付自転車免許を満16歳から単独で取得することができる。大型二輪免許は、受けられる年齢は普通自動車免許と同じで18歳以上である。

2006年から、高速道路での2人乗りができるようになった。

運転に際する注意点[編集]

乗用車などとは異なり、体が外部にむき出しになっているため落車や事故の際に受ける衝撃がはるかに強いものとなる。そのため、ヘルメットの装着が義務付けられているほか、厚手の手袋や肌を露出させないような服が推奨されている。バイク用の衣服は走行中にばバタつかないようになっているため、疲労感が大きく異なるだけでなく、胸部や背部などにプロテクターが内包されていたり、後から追加できるようになっているため安全性も高いものとなっている。自動車教習所においては長袖・長ズボンでない場合には教習を受けられないこともある[注 3]。近年では首周りに装着し、転倒を検知して自動でエアバッグが展開する装備も販売されている。

ヘルメットは固い外殻と衝撃吸収のための発泡プラスチックで構成されている。これは江守一郎によるアポロ11号の月着陸船の着陸脚の構造に倣ったものであり、いわゆる「衝撃吸収型バンパー」とも同源である。

ジャンル[編集]

バイクには様々なデザインがあり、そのデザインやライディングポジションなどからジャンル分けされる。いかに代表的なジャンルを記述する。

ネイキッド
カウルがなく、エンジンがむき出しになっているオーソドックスなデザインのものである。当初は特に呼び名が無かったが、空力に優れたカウル付きのバイクが出たことをきっかけに命名されたレトロニムでもある。カフェレーサーと呼ばれるカスタムのベースになることも多い。
レーサーレプリカ
レース用のバイクをもとに公道走行を可能にしたバイクであり、80年代の日本において熱狂的な人気を誇ったジャンルである。レプリカ元が参戦していたレギュレーションに合わせた排気量であることが多く、250cc~400ccが主流であった。レーサーレプリカという名前ではあるがその性能は折り紙付きであり、草レースなどでサーキットを攻めるライダーも少なくない。
スーパースポーツ(SS)
現代版レーサーレプリカともいえるバイクであるが、もとになる競技車両が存在していない。むしろこのスーパースポーツをもとに競技車両へ改造する場合もあり、サーキット走行を視野に開発されているバイクでもある。
ツアラー
長距離の快適性を重視しており、近年ではスーパースポーツに快適性を持たせたようなスポーツツアラーも多い。なお、街乗りにおいてもスーパースポーツより取り回しがしやすい設計になっていることも多い。
ストリートファイター
スーパースポーツのネイキッド版ともいえるバイクであり、もともとはカスタムの一形態であったものをメーカーが公式で出すようになったものである。そのため、取り回しなどはスーパースポーツに通じるところも多い。
クルーザー
アメリカンとも呼ばれ、ハーレーダビッドソンの多くの車種が該当する。シートが低く、ゆったりとしたライディングポジションが特徴的である。一方で小回りは苦手。日本メーカーのクルーザーを「ジャメリカン」といった時代もあった。なお、原チャリにもかつては存在しており、ホンダ・マグナ50はネットで特に有名である
オフロード
林道などの走行を視野に入れたバイクであり、高いシート高と細く軽量な車体、ブロックタイヤが特徴のバイクである。マフラーなども跳ね上げタイプのものが多く、障害物などの影響を受けにくい設計がなされている。
デュアルパーパス
オフロードの性能と舗装路での走行性能を両立したジャンル。スクランブラーと呼ばれたりマルチパーパスと呼ばれたり、アドベンチャーやトレールとも呼ばれたりジャンルがとても細分化している。ヤマハのセロー225はマウンテントレールと銘打って販売され、デュアルパーパスとして使いやすい性能から35年にわたるロングセラーとなった。
トラッカー
デュアルパーパスのジャンルの一つであり、ダートトラックレース用のバイクがもとになったスタイルである。日本においてはオフロードとネイキッドを融合させたような独特なスタイリングのバイクである。日本では250cc未満の小排気量向けに多くラインナップされていたこともある。ホンダがこのトラッカーをベースにさらにオンロード向けのネイキッドを作ったこともあったが、あまり売れなかったのはご愛敬。
スクーター
原チャリでおなじみの形状である。ゆったりとしたライディングポジションと足を使わずに運転できる操作性の良さ、シート下などに大容量の収納スペースがあるなど使い勝手がとても良いバイクである。250cc以上はビッグスクーターなどと呼ばれることもある。なお、上記の「またがる」タイプのバイクに乗りなれていると意外と怖かったりする。
モペッド
ペダルのついたバイク、もしくはエンジンのついた自転車である。スーパーカブの前身であるカブはこのモペッドであった。現在でもごく少数であるが新規製造のモペッドが販売されている。
ビジネス(通称)
スーパーカブでおなじみのビジネスバイクを指すジャンル。新聞や郵便の配達などに多く使われており、ホンダ・スーパーカブはその代表格である。通常の使用よりも極端に多いストップ・ゴーに対応したり、操作系が片方に集中していたり、前照灯が積荷の影響を受けにくいようになっていたりするなど細かい配慮が多い。
なお、これらのビジネスバイクの多くは原付一種のほか、80~110ccくらいまでの原付二種モデルも備えており、郵便で用いられる郵政カブや。警察で用いられる白カブはこちらの原付二種であることがほとんどである。
かつてはヤマハのメイトやスズキのバーディーなども存在していたが、カブの圧倒的な知名度に負けてしまったのか2024年現在ですでに廃盤である。なお、同じホンダから発売されていたベンリィも2022年をもって発売を終えている。

主要な製造メーカー[編集]

日本
  • ホンダ - ホンダ・スーパーカブは世界で最も売れたバイクとされている。良くも悪くも優秀なバイクが多い。
  • カワサキ - カワサキか...でおなじみのメーカーである。ライムグリーンの車体自体がCIマークのようなものである。
  • ヤマハ - 秀逸なデザインが多く、おしゃれなバイクも多いがキックのみのヤマハ・SRや前輪が二輪のヤマハ・トリシティなどの尖った製品を出すことも。なお、トヨタのエンジンも多く制作している。
  • スズキ - 市販車世界最速の座を手にしたなど、優れた性能を持つバイクが多いが独特なファンも多く、一度スズキのバイクにまたがったら鈴菌に感染するともっぱらのうわさである。
アメリカ
  • ハーレーダビットソン - クルーザースタイルの定番ともいえるメーカーである。
  • Buell - ハーレーダビッドソンのエンジニアが独立して興したメーカーであり、ロードスポーツ系のバイクがメイン。
  • インディアン - ブレーキとアクセルが左右逆である。日本では白バイとして使われたこともあるという。
欧州
  • KTM - オーストリアのメーカーであり、オレンジのカラーが特徴。
  • トライアンフ - イギリスのメーカーであり、世界で最も古いバイクメーカーである。
  • BMW - 自動車でもおなじみのドイツのメーカーである。
  • ベスパ - イタリアのメーカーである。同社のスクーターは銀魂にも出演している。
  • ドゥカティ - イタリアのメーカーであり、同国を代表するほど知名度が高いメーカーである。
その他
  • ロイヤルエンフィールド - 元はイギリスのメーカーだが、本国にある本社が倒産。現在ではインドに本社を置いている。
  • GPX - タイのメーカー。250cc未満のラインナップが豊富である。
  • ウラル - ロシアのメーカー。軍用車のようなサイドカーはコアなファンを惹き寄せる。

附記[編集]

「オートバイ」というと「二輪」と判断してしまいがちであるが、ヤマハのトリシティ125は前輪が二輪である。また、ホンダのジャイロキャノピーは後輪が2輪であり、それぞれ「三輪車」である。定義上、三輪のうち同軸輪の距離(輪距)が460mm未満であれば特定二輪車として自動二輪車扱いとなる。これが460mmを超えると所謂「トライク」となり、普通自動車となる。なお、さらに車室を有していて一種原付と同様の原動機であれば「ミニカー」扱いとなる。なお、特定二輪車の登場以前から原動機付自転車扱いされていたジャイロキャノピーはそのまま原動機付自転車である。

サイドカーについて、ウラルのようにサイドカー側の車輪も駆動する場合、一般的なトライクと同様の扱いとなり、自動二輪免許が不要であるものの普通自動車運転免許が必要になる。

脚注[編集]

  1. ヤマハ・ドラッグスターなど
  2. もっとも、運転免許証の細分化により、昭和40年(1965年)より前に普通自動車免許を取得した場合は現在の大型自動二輪まで付帯されていることもある
  3. ヘルメットや手袋は貸与されることが多い

関連項目[編集]