ハンセン病
ハンセン病(ハンセンびょう)とは、ノルウェーの医師であるアルマウェル・ハンセンが発見したらい菌による感染症のことである。日本では安土桃山時代の戦国武将である大谷吉継が羅漢していたことで有名な病気である。昔はらい病(癩病)と言われていた。アルマウェル・ハンセンが発見したことから、その名前をとってハンセン病と名付けられた。
概要[編集]
この病は末梢神経が麻痺し、皮膚のただれなどで障害が残る恐れがある病気である。ただし、感染力はそれほどでもなくむしろ弱いほうである。
日本におけるハンセン病[編集]
この病気にかかったことで有名な戦国武将に大谷吉継がいる。吉継は病に羅漢したため、その面相を他人に晒したくないとして白い布を顔全体にかぶって隠していたといわれる。医療知識の乏しい当時はこのハンセン病が周囲に感染するという誤解が強く、そのため吉継が病気を治すには人の血が必要であるとして人斬りをした、吉継の口をつけた茶の回し飲みの説話など、その病がいかに忌避されていたかを物語る史料が数多く存在している。
日本では明治40年(1907年)のらい予防に関する件で一部の患者の強制隔離を法制化した。ただし、昭和時代に入ってもこの病は医学的な知識が得られておらず、昭和6年(1931年)には医学的根拠が全く無いのにハンセン病患者の隔離が開始され、同年には旧らい予防法で強制隔離が法制化してしまう。さらに不妊手術や中絶手術をほぼ強制的に行なわれた上、ようやく薬物の開発で治療法が確立した後もハンセン病患者に対する差別や人権侵害が相次いだ。日本政府は平成8年(1996年)になって予防法を廃止したが、ハンセン病元患者本人の訴訟で熊本地裁は平成13年(2001年)に隔離政策の違憲性を認めて国に賠償命令を出した。令和元年(2019年)6月の熊本地裁判決では、家族への差別被害を認めて、国に賠償を命じている。