ニコラ・アンゲリッシュ

ニコラ・マイケル・アンゲリッシュ（Nicholas Michael Angelich, 1970年12月14日 - 2022年4月18日）は、アメリカ出身のピアノ奏者。

シンシナティに、ユーゴスラビア領ベオグラード出身の父ボリヴォジェとソビエト連邦領ゴーリキー出身の母クララの子として生まれる。一家は1965年にアメリカに移住したばかりで、父はシンシナティ交響楽団のヴァイオリン奏者を務め、母はピアノ教師であった。５歳の頃より母の手解きでピアノを始め、６歳で人前で弾くほどに上達した。７歳の時にはヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトのピアノ協奏曲第21番を弾いてオーケストラと初めて共演した。13歳の時に母と一緒にパリに移り、パリ音楽院でアルド・チッコリーニ、ミシェル・ベロフ、イヴォンヌ・ロリオ、マリー＝フランソワーズ・ビュケの各氏に師事。ピアノと室内楽の科目でプルミエ・プリを取得した。さらにレオン・フライシャー、ドミトリー・バシキーロフやマリア・ジョアン・ピレシュ等のマスター・クラスに参加し、1989年にクリーヴランドで開催されたロベール・カサドシュ国際ピアノ・コンクールで２位入賞を果たした。1994年にジーナ・バッカウアー国際ピアノ・コンクールで優勝して頭角を現し、1996年にカデナッビア国際ピアノ財団の常任ピアノ奏者となった。2003年にはクルト・マズアの指揮するニューヨーク・フィルハーモニックと共演してアメリカに凱旋し、ヴェルビエ音楽祭やルガノのアルゲリッチ音楽祭でもマルタ・アルゲリッチと共演を果たした。2006年に初来日。

重度の肺疾患により、パリ市内の病院で没した。