シャベル
シャベルとは、「名称としての『シャベル』」と、「現物としてのシャベル」があるからややこしい。
もともとは農具の一種であり、開拓・開墾のための道具であり、農耕文化における代表的な道具である。
日本産業規格 (JIS) では「ショベルおよびスコップ」 (JIS)(https://kikakurui.com/a8/A8902-1988-01.html) を用いているが、本項ではシャベルを用いる。足をかけることができるものような、両手で用いるようなものを指す。つまりつぼの部分が柄の部分から垂直方向に伸び、広くなっているものを指す。漢語では円匙 (えんび、えんし) ともいう。
土砂や雪、工事現場で出るガラなどを掬う際に使用する場合は「スコップ」と呼ばれることがあり、「角スコ」や「スノースカッパー」がある。
農作業にも用いられるシャベルは「スペード」とも呼ばれ、性的な引喩としても用いられる。園芸用のシャベルはこちらに分類され、「移植鏝」などとも呼ばれる。
概要[編集]
先端は焼入れされた硬い金属でできており、重いかわりに頑丈である。大きめの土砂雪や小さめの岩、植物を根ごと移動する際などに使用される。さじが広いため、一度に多くのものを掬うことができる。「メディカル・ドカター」を自称する医師の小野博通によれば、「まず、その重量を生かして縦に打ちこみ、柄に体重をかけてテコの原理でさじ部を起こし、そうしておいてさじ部に近いところを支え、水平に回すようにして中身を移動させるようにしないと腰をいわす」と注意している[1]。
その扱いやすさから軍隊の塹壕を掘るときや、蒸気機関車の機関士がコークス (石炭) を投入するときにも用いられる。
工事関係ではより大きく自動化させたショベルカー (パワーショベル) が存在する。
歴史[編集]
かつては一本の木製の棒であり、小さいものであった。平らな埴土の面に孔をあけ、種や苗を植えるために用いられた。
このとき、未耕作であって土の中に小石などが混じっているときに、先の尖った杭(ギリシャ語でスタウロス、英語ではステークス)のようなものを打ちこんではほじり返し、出てきた石などを取り除いて土を柔らかくし、腐葉土や堆肥などを混ぜ込んで土質を改良するようになった。
この当時は金属器が乏しかったため、上端部分を削るか木の股のところを利用し、そこに石を縛りつけて重量を増したようである。ここまでは考古学者の研究によってほぼ推定されている。
ここから先はよくわからない。ここに農耕用の大型家畜(牛や馬)や金属器の普及が絡んでくるからである。家畜は遺物として残りにくいし、金属器は溶かして再利用されてしまうため残らない。ともかくも、ここで牛に牽かせる犁(ブルドーザー)と人間が用いる鍬や鶴嘴や斧・鉈、玄翁やカケヤなど「振る」もの、シャベルや角スコップなど「掘る」「移動する」道具の三種に分かれたとみられる[2]。なお、このとき「もっこ」や、車輪のついた「荷車」や「一輪車」が登場したようである。すでに三国志の時代にあったらしいことが『孔明のヨメ』で示唆されている。
人間生活との関わり・利用[編集]
牛に牽かせるものを「犁(り、すき)」という。英語では「ブルドーザー」である。二本の把手が V 字形についており、そこを持って畑を掘りおこす[3]。
臺灣では、スクーターを運転中に前方ブレーキで急停止しようとして前のめりにずっこけることを「犁耕」と云うらしい。
「犁」は鉄の一枚板であり貴重品であったため、取り外して手入れをするものであった。いわゆる「すきやき」の発祥はここにあるといい、漁業民における「かやき」と対をなす。
また、畑を耕し土質を改良し収穫するということから豊穣の意があり、女性を畑にたとえ、男性に「畑を耕し、種を播く」があるとする隠喩がある。ただし、これは豊穣祈願の祭祀においては露骨に(ただし隠喩として)表現されるが、ハレの場だからこそ許されるものであり、ケの場ではあからさまに口にしないのがマナーとされた。そのため英語圏では「スペードをスペードと呼ぶ」のを「下卑た振舞い」とする。これ以外に女性を竈、男性を火吹竹で象徴するとか、性行為を餅搗きに例えるとかいった例がある。いわゆる「ひょっとこ」「うそぶき」の面が片目を眇(すが)めているのは「火起こし」からの連想で、おたふく(お多福)、おかめ(阿亀)、乙御前(おとごぜ)の面が「二満三平」で表されるのもいろいろ意味があり、決して「麩美人を嘲笑(あざわら)って」いるわけではない。
脚注[編集]
関連作品[編集]
関連項目[編集]
脚注[編集]
関連項目[編集]
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