クリミア鉄道

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クリミア鉄道(ロシア語:Крымская железная дорога、英語:Crimea Railway)とは、クリミア共和国セヴァストポリ特別市で鉄道事業を行うロシアの国営企業。[1]正式名称はФедеральное государственное унитарное предприятие «Крымская железная дорога»(連邦単一企業体「クリミア鉄道」)。本社はクリミアのシンフェロポリに置かれている。

概要[編集]

ロシアのクリミア半島侵攻に伴い、2014年に設立された。路線網はすべてウクライナシスドニエプル鉄道[2]から引き継いだものである。運航する路線の総延長は1325㎞に及ぶ。
本社のあるシンフェロポリに、機関車・気動車の基地と整備工場が置かれている。また、ジャンコイには機関車と客車の基地が、ケルチには機関車のみの基地が存在する。そのほか、客車の修理拠点が2か所存在する。なお現在、路線を新規に建設するための車両や設備は保有していないようである。

路線[編集]

電化路線(直流3000V)[編集]

  • ソリョノエ・アゼロ(Солёное Озеро)~チスチェンカヤ(Чистенькая) 複線
  • セヴァストポリ(Севастополь)~チスチェンカヤ(Чистенькая) 単線
  • アストリャコヴァ(Остряково)~イェウパトーリヤ(Евпатория) 単線

非電化路線[編集]

  • バゲロヴォ(Багерово)~ケルチ南(Керчь-Южная)~(クリミア大橋)~タマン・パッサジルスカヤ(Тамань-Пассажирская) 複線
  • ウラジスラヴォフカ(Владиславовка)~クリム(Крым) 単線
  • ジャンコイ(Джанкой)~アルマンスク(Армянск) 単線
  • ジャンコイ(Джанкой)~フェオドシヤ(Феодосия) 単線

クリミア半島内で完結する列車のほかに、クリミア大橋やケルチ海峡鉄道連絡船を経由してモスクワヴォロネジロストフ・ナ・ドヌなどへ向かう長距離列車も運行している。

歴史[編集]

2014年7月11日、シスドニエプル鉄道・クリミア総局の建物に「クリミア自衛軍」が乱入し、運行が一時的に停止した。
9月10日、クリミア自治共和国は自らの国営企業として「クリミア鉄道」を設立した。この後ほどなくして、クリミアとウクライナとの列車の往来が消滅した。クリミア鉄道は鉄道施設をすぐさまロシア政府に移管し、翌年ロシアの連邦単一企業体「クリミア鉄道」となった。
ウクライナ政府は「クリミアの鉄道施設の移転を認めていない」としてクリミア鉄道を訴える構えをみせた。またアメリカは、クリミア鉄道とその関係者を経済制裁リストに加えた。

ロシアに移管された当時、クリミア鉄道の最高速度は高くて40km/h、区間によっては10km/hにまで制限されていた。この原因について、クリミア鉄道の関係者は「ウクライナの鉄道設備が時代遅れであるため」と説明した。
クリミア鉄道は、旧シスドニエプル鉄道の機関車の「УЗ(ウクライナ国鉄の略称)」の文字を消すと、黄と青[3]の塗装をそのままにして運行し始めた。

移管から数か月後、クリミアのケルチとロシア本土を結ぶ鉄道連絡船の運航が再開された。また、この頃よりロシアから新型の電気機関車が断続的に送り込まれ、ウクライナの車両とともに運用されるようになった。

2017年、ロングレール化などによる高速化工事が完了したため、一部の幹線の最高速度が100km/hにまで引き上げられた。

2019年12月23日、クリミア大橋の鉄道部分が開通した。これに伴い、クリミアのケルチとロシア本土のタマンを結ぶ鉄道連絡船が廃止された。

2022年3月、ウクライナ侵攻に伴い、ロシア軍によってウクライナのへルソン方面への列車の運行が再開された。

2022年10月8日午前6時7分、クリミア鉄道の通るクリミア大橋で突如爆発が起きた。これに伴い、クリミア大橋の線路の片側が通行できなくなったほか、橋の上では安全のために徐行運転が行われるようになった。

脚注[編集]

  1. 正確には単一企業体とよばれる、ロシア独自の企業形態。
  2. ウクライナ国鉄の子会社。運行列車はすべてウクライナ国鉄のものとして扱われる
  3. ウクライナの国旗の色