カネミ油症事件

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カネミ油症事件(かねみゆしょうじけん)とは、昭和43年(1968年)に西日本一帯で発生した食品公害のことである。

概要[編集]

福岡県北九州市のカネミ倉庫製の米ぬか油を摂取した人たちが、吹き出物や手足の痛みなどの症状が出たことにより10月に発覚した。原因は製造過程で混入した強毒性のポリ塩化ビフェニール(PCB)とダイオキシン類であった。色素沈着した「黒い赤ちゃん」が生まれた例まであり、そのため次世代への影響が懸念、指摘されている。

症状としては皮膚の炎症、生まれつきの病弱、身体がだるくなったり突然鼻血を出したり、爪が黒くなってはがれたり、背中が膿んで悪臭を発したりしたという。このカネミ油症は遺伝しているが、ダイオキシン類の血中濃度が低いと患者として認定されないなどの問題も発生している。

昭和44年(1969年)からカネミ倉庫とPCB製造元の旧鐘淵化学工業(現在のカネカ)などに対して損害賠償を求めて、初の集団提訴が行われる。昭和45年(1970年)にはこれに国を被告に加えた集団訴訟の第1陣提訴が開始された。

昭和59年(1984年)、福岡高裁判決で国の責任を認める初判断が下され、昭和62年(1987年)には最高裁で原告とカネカが和解した。

平成16年(2004年9月、PCBの加熱で生じるダイオキシン類ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)の血中濃度を患者認定の診断基準に追加。平成24年(2012年)9月には被害者救済法が施行される。

令和2年(2020年)、患者側が次世代にも影響が出ているとして、救済を求める要望書を国に提出し、令和3年(2021年7月に国や患者団体などが、認定患者の子や孫を対象にした初の健康調査実施をすることで合意した。これを受けて8月に調査票の発送が開始されている。

外部リンク[編集]