エンジンブレーキ
エンジンブレーキ(Engine braking)とは、エンジンに搭載されるブレーキ......ではなく、エンジンを搭載する自動車において、スロットルを戻した際にエンジンの回転抵抗を利用して車速を減少させる制動効果を指す。この仕組みは主に減速や速度調整の際に使用され、車両のブレーキシステムへの負荷を軽減する役割を果たす。 なお、エンジンブレーキという制動装置があるわけではない(後述)。
概要[編集]
エンジンブレーキは制動装置を使わず、エンジンの回転抵抗で車速を減少させる現象である。
エンジンの回転抵抗は吸気抵抗や機械的な損失が抵抗を生み出しており、回転数が高いほど大きくなるといわれている。そのため、走行中の自動車は路面の抵抗に加えてエンジンの回転抵抗を上回るエネルギーで走っていることになる。このエネルギーの吊りあいが崩れ、エンジンの回転抵抗が走行しようとするエネルギーに打ち勝っている状態がエンジンブレーキが利いている状態といえる。
一般には走行ギアよりも低い(減速比の大きい)ギアに入れ、タイヤからエンジンを回し続けるための抵抗を増やし、さらにエンジンの回転数を上げることでより大きな回転抵抗を利用して制動させるものがエンジンブレーキといわれている。
マニュアルトランスミッションはエンジンと駆動輪の間で駆動力が直接伝達されるためエンジンブレーキが強くかかるようになっている。一方、トルクコンバータを介して駆動力を伝達するオートマチックトランスミッションやCVTの場合は、それよりも効きが劣るといわれている。
エンジンブレーキは制動系とは別系統で制動できるものであり、適切に使用することでフェード現象やベーパーロック現象などのフットブレーキを多用したことによって起こる現象を抑制できるとされている。
誤解[編集]
よくある誤解として、「エンジンブレーキという部品がある」というものがある。実際は前述のとおりであるが、新車を購入するときに「エンジンブレーキをオプションで付けてください」という人もいたという[1]。自動車教習所ではMTもATもエンジンブレーキについては教わるはずであり、そういったドライバーが自動車を運転していると考えると......
また、エンジンブレーキが後続車に対する煽りと認識するドライバーが一定数いるようで、2023年3月にはSNSでエンジンブレーキを利用して減速していたら通報されて警察に止められた、という内容の投稿がされて物議を呼んだ[2]。
ブレーキランプのつかない減速は危険という意見がでたが、そもそもブレーキランプに頼らない車間調整技術は持っていてほしいものである。なお、余談であるが無駄にブレーキを踏む行為は渋滞を誘引するともいわれている。
つーか電気自動車(EV)の場合は回生制動が行われるのが普通であるはずなので、「そもそもブレーキランプは何を伝えているのか?」というのが謎になってくる。「ドライバーが速度を落とそうとしていますよ」なのか「この車には制動がかかっていますよ」なのか。電気自動車は坂道でブレーキをかけなくても自動的に速度が落ちるように設定されているので、それなら自動車のほうで自動的にブレーキランプを点灯させるのが正解なのか?といったことについて国や警察はどう対応するか、という話である。