アムールトラ
アムールトラ(英:Amur tiger・Siberian tiger・学:Panthera tigris altaica)とは、トラの亜種である。ネコ科で最大の動物。「シベリアトラ」「マンシュウトラ」「ウスリートラ」「トウホクトラ」「チョウセントラ」とも呼ばれる
形状[編集]
全長・体重は、オスは2.7~3.3mで、180~306Kg。メスは2.4~2.75mで、100~167Kg。
夏毛は、ベンガルトラに類似する。他の亜種に比べ、体色は淡くて、縞模様の間隔が狭い。
体毛は、深くて長い。夏毛の長さは1.5cm程で、冬毛は4~5cmになる。
生態[編集]
主にロシアの極東地域や中国の東北地域の高山地帯に生息する。[1]韓国では絶滅しており、北朝鮮のアムールトラは絶滅説と北部のみに生存しているという説がある。針葉樹林に生息する。
シカやイノシシなどの大型のほ乳類を食べ、時には、ヒグマを襲うこともある。[2]空腹時は、鳥類、トカゲ、昆虫も食べる。[3]
主に夜行性だが、昼間も活動することもある。
ネコ科だが、水を好み、暑い日には水に入る。また川や湖を泳いで渡ることもある。
繁殖期や子育ての時期以外は、単独生活をする。[2]オスのトラは、繁殖相手のメスや狩りの獲物を探し何百キロも移動する[4]
妊娠期間は100日。繁殖期は冬で、平均3~4仔の子を産む。1歳半ぐらいから狩りをするようになり、2~3年間、母親と共に過ごす。 雌は3歳、雄は4~5歳で、性成熟する。
寿命は、野生下では約10~15年で、飼育下では約20~25年である。
人間との関係[編集]
違法伐採や密猟が行われ、数が減っている。[5]
1721年から1917年までの帝政ロシア時代に密猟が行われ、個体数が減少した。経済・政治的に激変した1990年代にも密猟が活発化して、再び個体数が減少した。
ロシアが密猟やトラの違法取引を厳しく制限したことで個体数が回復傾向になった。[5]現在は、ロシアだけでも約600頭しか現存しない[6]
中国政府は、吉林省の黒龍江省にアムールトラ・アムールヒョウ国家公園を開園し、園内では森林の伐採や鳥獣の狩猟を禁止した。[7]
ICUNレッドリストには、絶滅危惧1A類に、ワシントン条約には附属書1に指定されている。
脚注[編集]
- 脚注
- 出典
- ↑ アムールトラ| 帯広市ホームページ 十勝 2022年10月1日閲覧
- ↑ a b いきもの目線:ネコ科最大最強のアムールトラ 四つ子は愛嬌たっぷ - 朝日新聞、2022年4月3日閲覧。
- ↑ 水にも寒さにも強い密林の王アムールトラ - 静岡市立日本平動物園、2022年4月3日閲覧。
- ↑ 【動画】都市に出没したトラ、無事に森へ、ロシア - ナショナルジオグラフィック、2022年4月3日閲覧。
- ↑ a b ロシアで野生トラが増加、500頭超に - ナショナルジオグラフィック、2022年4月3日閲覧。
- ↑ 凍傷負ったアムールトラの子どもを治療 ロシア - AFP BB News、2022年4月3日閲覧。
- ↑ 野生アムールトラの姿 40年ぶりに観察 中国北部で生態環境改善 -AFP BB News、2022年6月8日閲覧。