Midori

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Midori
Midori Web Browser v11.0 running on Windows 11 23H2.png
Midori v11.0のスクリーンショット
読みミドリ
開発者Astian, Inc,Alfonso
Hernandez (9.xまでは
Christian Dywan,Nancy
Rungeら)
種類Webブラウザ
初版2007年12月16日(WebKit版)
2023年9月19日(Firefoxベース)
最新版11.3.3 - 2024年5月13日
最新評価版10.1.0 Beta - 2023年10月7日
リポジトリgithub.com/goastian/midori-desktop
(WebKit時代は
github.com/midori-browser/core)
プログラミング言語C++,C言語,Rust,
JavaScript,HTML,CSS
対応OSWindowsLinuxAndroid
使用エンジンGecko (9.xまではWebKit,
Midori NextはBlink)
ライセンスMPL 2.0
(Midori NextまではLGPL)
公式サイトastian.org/midori-browser

Midoriは、Mozilla Firefox派生ブラウザのFloorpをベースに開発されており、レンダリングエンジンにGeckoを使用したWebブラウザである。

概要[編集]

Midoriという名称は、日本語の「緑」に由来する。

2018年以前[編集]

Midori v7のスクリーンショット

MidoriはHTMLレンダリングエンジンにWebKitを採用し、軽量で高速なレンダリングを実現したブラウザであった。Acid3テストにも合格している。

WebKit時代のMidoriはXfce Goodiesコンポーネントの一部であり、「利用可能なリソースを最大限に活用する」というXfceの原則に従って開発されていた。また、ツールキットにもGTK2を採用していた。

柔軟なウェブ検索設定やユーザースクリプトとユーザースタイルのサポート、カスタマイズおよび拡張可能なインタフェース、スピードダイアル、Maemoのサポートなどが特徴であった。

また、C言語やValaで拡張モジュールを作成でき、Adblockやフォーム履歴、マウスジェスチャー、Cookie管理、RSSフィードパネルなどの拡張があった。

標準の検索エンジンには、情報収集やトラッキングを行わない「DuckDuckGo」が採用されていた。

2019年[編集]

Midoriは2019年にAstian, Incに統合された。Astian, IncによってElectronを用いて再構築されたMidori Nextが公開され、WebKitを採用したMidoriは公式サイトからダウンロード不可となった。

Midori NextはChromiumをベースとするフレームワークであるElectronを採用したため、レンダリングエンジンはBlinkに変わったが、その後安定版のリリースは行われなかった。

2023年[編集]

Astian, Incは2023年8月1日、レンダリングエンジンをGeckoに変更すると発表した。

8月31日に新たなベースが日本のAblazeが開発するFloorpであることが発覚し、9月18日にはAstianの公式TwitterアカウントでFloorpをベースとしていることが公表された。

その後、9月19日にFloorpをベースとしてから初のパブリックベータである10.0.3が公開され、10月28日に正式に11.0がリリースされた。

なお、Floorpの開発陣はMidoriの開発には一切関わっていない。

2024年[編集]

2024年1月14日、Floorpの開発者のTwitterの投稿で、Midoriでは一部の著作権表記を無断で書き換えており著作権侵害にあたる状態であることが明らかになった。

MidoriのベースとなっているFloorpはFirefox ESRのリリースに合わせて4週間に1度リリースされるが、Midoriは不規則にリリースされている。

Floorp 11.0~11.18までとMidoriブラウザ11.0~11.3までのタイムライン
Floorp 11及びMidori 11のタイムライン


評価[編集]

WebKit時代[編集]

Midoriはプロセスの分離がなされていないなど、安定性に難があった。 その為、時々クラッシュするという批判がある他、利用可能な拡張の数が少ないことも批判の対象になっていた。

TechRadarのNick Veitchは、2010年にLinux向けの8つのベストなWebブラウザーにMidori 0.2.2を含めていた。 当時、彼はそれを「5/10」と評価し、「オールラウンドで十分に機能する一方で、GNOMEの標準ブラウザーであるEpiphanyや、メジャーなブラウザなどと比較して、このブラウザーを選択する説得力のある理由はない。」としている。

ComputerworldのHimanshu Aroraは、2013年11月にMidori 0.5.4をレビューし、このブラウザーの速度と整頓されたインターフェースを称賛した。

Gigaomの Victor Clarkeは、2014年にMidoriのミニマリズムを称賛し、高度な機能の欠如を強調したにもかかわらず、「PCの速度を落とさずに謙虚なニーズを満たす」と述べた。

Floorpベース[編集]

FloorpベースのMidoriは、Astian, Incが運営する検索エンジンであるAstianGOが追加された程度で、それ以外はバージョンの若干古いFloorpに過ぎず、ユーザー目線での改善などが加えられていないという批判があった。
しかし11.1.3以降では、GPC対応やWeb3技術の実験的サポート、プライベートブラウジングで情報がフォームに保存されない仕様になるなど独自の機能を増やしている。

Midori 11はプライバシー保護を前面に押し出す姿勢をとっているが、提供元のAstian, Incが広告会社であることや、AstianGOやMidoriDNS、Midori VPNなど同社によって提供されている他サービスとの連携が強化されていることなど、不安要素があるとの指摘がある。

また、当初は独自開発であると謳っていたりFloorpがベースであることを公表していなかったりしたこともあり、ある程度の普及が見込めるが現時点で知名度がないFloorpに、知名度の高いMidoriの名前を付けて独自のブラウザとしてリリースすることで、Floorpの潜在顧客をAstian, Incが奪おうとしているのではという憶測を呼んでいる。Astian, Incは2024年7月時点でもMidoriの公式ページにFloorpの名称を記載していない。

2024年1月には上述した著作権侵害問題が発生しており、法的な問題があることも指摘されている。

2024年3月17日にFloorpが一時的に一部のソースコードをクローズドにした理由として、「自身がFloorpフォークであることを隠したいフォーク、Floorpにまったく貢献したくないフォーク、コードをそのまま使用してFloorpの名前を変更しただけのフォークなど」が増えたことが原因になっていると発表されており、明言はされていないもののMidoriのことではないかと推測されている。なお、Floorpの非公開だった部分のソースコードはライセンスを変更され、同25日に再公開されている。

外部リンク[編集]

WebKit版Midoriのフォーク[編集]

関連項目[編集]