ALPS処理水

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ALPS処理水(アルプスしょりすい)とは、福島第一原子力発電所の原子力建屋内において、燃料デブリ等に触れて放射性物質を含んだ汚染水をALPSという装置でトリチウム以外の放射性物質を(規制基準以下まで)除去したである。

ALPS[編集]

ALPSとは「Advanced Liquid Processing System」の頭字語であり、多核種除去設備とされている。地下水や雨水、または冷却水などが燃料デブリに触れ、放射能汚染された汚染水から薬液による沈殿処理や吸着剤によりトリチウムを除く放射性物質を取り除く設備である[1]

一度の処理で放射性物質を取り除けるわけではなく、基準値以下になるまで繰り返し処理され、比較的低リスクになった処理水は敷地内のタンクにて貯蔵されてきた。

トリチウムの除去[編集]

トリチウムを含んだトリチウム水(HTO)は普通の水(H2O)と電位配置が同一であり、化学的な分離は不可能であるとされている。そのためALPSでは処理しきれず、物理的な分離法が模索されている。実験室段階では実現した記録があるものの[2]、処理能力に劣るとされており、実用化はされていない。

なお、5号機建屋に溜まっていた津波により発生した汚染水であるが、その汚染水を浄化し脱塩したものを「安全なら飲んでみてはどうか」と言われて実際に飲んだ政務官がいた[3]。なお、その件については「ただのパフォーマンス」や「逆に不信感を持たせるものだ」[4]という評価であった。にもかかわらずマスメディアは「安全なら飲んでみてはどうか」と政府東電関係者に発言しており、自らの過去は振り返らない主義であるらしい。

海洋放出[編集]

福島第一原子力発電所で1日に発生する汚染水は平均140トン(2021年時点)とされており[5]、東電は都度貯水タンクを増設し処理水をため続けていた[注 1]。一方で廃炉作業に向けて燃料デブリの保管場所など用地が必要であることから、処理水の処分は必要な事項であった。

処理水の処分としては電気分解して水素にする案や蒸発させて揮散させる案、セメントに混ぜて地中に埋める案、そして基準値以下にした処理水の海洋放出である。

最終的には前例があり、コスト面などで優れる海洋放出に決定された。

放出にあたっては2023年6月中に真水を使った試験がなされ、IAEAにより国際的な基準に合致しているという旨の報告を受けたことにより7月上旬までに海洋放出を行う準備を整えた。

8月22日、政府がALPS処理水を放出することを正式に決定同月24日に放出となった。

8月24日には決定通り放出が開始され、その際の濃度は63Bq/Lであった。計画によると460t/日を放出し、7,800tの処理水を2~3週間かけて放出するとされている。26日には周辺海域でとれたヒラメホウボウを検査。いずれの検体においてもトリチウムは不検出となっている。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. この様子は福島第一原子力発電所上空の写真を時系列でみることでわかりやすくみることができる

参考[編集]