13日金曜日ボン最期の日

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13日金曜日ボン最期の日」(じゅうさんにちきんようび ぼんさいごのひ)とは、1979年7月13日日本テレビ系列で放映された『太陽にほえろ!』第363話のタイトルである。この回の放送で、宮内淳演じるボンこと田口良(たぐちりょう)刑事が殉職してしまう。お人好しでおっちょこちょいながらも、人の心を理解する事に長けているボン刑事が、最期の最期まで身を挺して守った事件関係者の妹の救急要請を依頼するために、孤軍奮闘する姿が印象的な作品である。

あらすじ[編集]

夜間、覆面パトカーで警ら中のボンは、橋の上で挙動不審な女性・奥田礼子を発見。刑事ですからと身分を明かした途端、礼子は橋の上から飛び降りようとする。すんでの所で飛び降り自殺をしようとした礼子を思い留まらせ、ボンは礼子の自宅アパートまで送る。礼子の自宅に着いた途端、警察無線で宮田宝石店から変な物音がすると連絡が入り、ボンは現場に直行する。すると拳銃の発砲音がし、宝石店から二人組の犯人が出てきて逃走をはかる。そのまま追いかけようとしたボンだが、その直後に拳銃で腹部を撃たれた山崎警備員が助けを求めて店から出てきて倒れこんだ。一瞬躊躇したボンがとった行動とは、山崎の傷からの出血を抑えることであった。捜査一係メンバーが到着、ボンはゴリに犯人を逃してしまった事を詫びるが「怪我人助けるのも、刑事の仕事さ」と、ボンに語りかける。その後の捜査の合間に、ボンは奥田礼子の住むアパートへ様子を見に行くが、応対したのは礼子の妹・奥田智子であった。礼子は普通に会社へ出勤したと智子は言ったが、実は礼子は部屋の奥に身を潜めていて、ボンが帰った後に、すぐ何処かへ出かけてしまった。

宝石店・金庫などの詳細な捜査が煮詰まりを見せ始めた頃、橋の下で礼子の死体が見つかったと一係に電話連絡が入った。ボンはまさかそんなと叫び、どうしてと何回も呟いた。その後の捜査で、礼子は宮田宝石店の金庫をおさめる金庫屋に勤務していた事が判明。その礼子が、倉田という男と交際していたと知ったメンバーは、快方に向かっている入院中の山崎に倉田の写真を見せた所、こいつが犯人だとの証言を得て、モンタージュで作成した共犯者を逮捕。その男は、金庫の鍵の番号は倉田が礼子から聞いたものだと自供する。

ボンは智子のすむアパートへ向かう。智子は姉・礼子も共犯だと書かれた新聞を酔っぱらってボンに投げつけた。しかし、何故礼子は橋の上から飛び降り自殺をしたのか? ふとボンは気づく。実は、ボンが親切心で礼子の状態を見にアパートへ訪ねたのを、礼子は勘違いをして急を知らせに倉田と橋の上で落ち合った。そこで倉田は、礼子を橋の上から突き落とし、自殺に見せかけて殺したのでは、と。智子は泣いて否定し、ボンを追い返す。

一係に黙って座り込むボンに、山さんが声をかける。智子がこの世で一番愛する礼子を、一番信頼していた倉田が本当に礼子を殺したとしても、智子は信じられないだろうし、無茶をしかねない智子も心配だとも。ボンは叫ぶ。俺が全部悪いんだ。礼子の様子を見に行かなければ、倉田に殺される事はなかっただろうに、と。

激しく自分を責めるボンに、ボスが語る。人の命を救うのも刑事の仕事の筈だが、どうしても犯人を追いかけてしまう。だが、お前は1人の人間の命(山崎)を救ったんだ。俺はそんな部下を持って、誇りに思っている、と。ボンは気持ちを切り替え、智子のアパートで張り込みをする事にした。智子が無茶な事をしないように、倉田が接触してくるかもしれないからと言いながら。

張り込みの隙を突いて、智子はタクシーを拾い、何処かへ向かってしまう。ボンは、たまたま通りかかった一般人の車を借りて、タクシーを追いかけた。そして、着いた先の工業団地で智子と倉田が落ち合い、宝石の入っている金庫の鍵を渡せと拳銃で智子を脅している所に、ボンが倉田の肩へ一発射撃し智子を助けようとしたが、倉田は雇いの仲間にボンを襲わせる。何とか雇いの仲間を射撃して追い払ったものの、肝心の倉田の姿が見えない。何処かに隠れている倉田を捜しに懸命になるボン。しかし、放心状態の智子が、匿っていた場所からフラリと出歩いてしまう。「危なーい!!」と智子を庇おうとしたボンに、隠れていた倉田が背部・腹部へと銃弾を撃ち込み、更には智子へも一発撃ち込む。危機一髪の所でボンは倉田に銃撃を加え、倉田を退散させる。

捜査一係へ連絡し、救急車の手配を頼もうと、ボンはフラフラになりながらも遠く離れた公衆電話ボックスへ一歩一歩歩んでいく。が、途中、あまりの出血量に驚愕し、ついには気絶して倒れこんでしまう。しかし、一係メンバーの顔を思い出し、何より智子を助ける為に、最期の力を振り絞って電話ボックスへたどり着いたボンだが、既に電話に出たボスに「ボ…ス…」というのが精一杯であった。ボスは何度もボンの名を叫び、山さんは電話の逆探知を問い合わせていた。 しかし、遂にボンは最期を迎え、受話器を固く握りしめたままで絶命した。

現場で一係メンバーが目にしたのは、既に変わり果てたボンの姿であった。智子は病院へ運ばれたとボスに報告する殿下であったが、険しい表情のボスは殿下の報告に無言を通し、せめてもの償いの為に、受話器を固く握ったままのボンの手指を外すことしか出来なかった。

出演[編集]

警視庁七曲警察署刑事課捜査第一係刑事メンバー[編集]

(括弧内)は、一係内でのニックネーム

捜査第一係内勤員[編集]

ゲスト[編集]

参考資料[編集]

  • 太陽にほえろ! 名場面集② 7周年記念 日本テレビ放送網発行 初版:昭和54年9月14日 ISBN 4-8203-7911-9
  • 太陽にほえろ! 10周年記念号 日本テレビ放送網発行 初版:昭和58年4月15日 ISBN 978-4820383550