鹿児島市17歳女性強姦事件
鹿児島市17歳女性強姦事件(かごしましじゅうななさいじょせいごうかんじけん)とは、強姦罪で起訴された男性Aに一審で有罪判決が言い渡されるも、DNAが別人だとして二審で無罪判決が言い渡された事件。
概要[編集]
2012年10月7日の午前2時過ぎ、鹿児島県鹿児島市中心部の繁華街で見かけた当時17歳の女性を近くの駐車場付近に連れ込んで乱暴したとして、2012年11月15日に鹿児島県警が男を逮捕した[1]。2012年12月に起訴された。
裁判経過[編集]
男性は捜査段階から「酒に酔っていて記憶がない」と容疑を否認。鹿児島県警の捜査段階の鑑定では、女性の胸に付着していた唾液と思われる液体は男性Aと一致するDNA型が検出され、女性の体内に残された体液から抽出されたDNAは微量だったためにDNA型の鑑定はできなかったとしていた
2014年12月に鹿児島地裁は、懲役4年(求刑・懲役7年)の有罪判決を言い渡した。女性の胸に付着していた唾液のようなものと男性AのDNA型が検出されたことで女性の供述は信用できるとした[2]。判決では鑑定ができなかった女性の体内に残されていた精液は男性Aのものだと判断している。
2016年1月12日、福岡高裁宮崎支部(岡田信裁判長)は、懲役4年の一審判決を破棄して逆転無罪判決を言い渡した[3]。
控訴審では、弁護側の求めに応じて福岡高裁は日本大学の押田茂實名誉教授によるDNAの再鑑定を実施。女性が当日はいていたショートパンツから検出された第三者の型とも一致した。また、弁護側は女性の証言通りにアスファルトの上で服を脱がせて暴行したとすると女性がけがを全くしていないのはおかしいと主張。男性Aは酩酊状態で「自転車に乗りながら女性の腕をつかんで強引に約200メートルも離れた現場まで連れて行くのは不可能として、女性の証言の信用性はないと主張した。
再鑑定の後も検察側は「女性が事件の前に男性A以外の人物と性交渉している場合、第三者の精液が検出されることはあり得るとして、女性が虚偽の証言をする動機は全くない」と女性の証言には問題がないと主張していた。新たに別の大学教授にDNA型鑑定を依頼して証拠採用を求めたが退けられている。
2015年3月に福岡高裁宮崎支部が実施したDNA型鑑定の結果を受けて男性Aが釈放されている[4]。実刑判決を受けながらも裁判中に釈放されるのは異例。
上告期限の26日に上告しなかったことで無罪判決が確定[5]。福岡高検の保坂直樹刑事部長が「判決には承服しがたい点があるが、上告すべき憲法違反や判例違反があるとまでは言いがたい」とコメントを出した。
不祥事[編集]
鹿児島県警の捜査段階の鑑定はでは、女性の胸に付着していた唾液と思われる液体は男性Aと一致するDNA型が検出され、女性の体内に残された体液から抽出されたDNAは微量だったためにDNA型の鑑定はできなかったとしていた[6]。 そのときに鹿児島県警の鑑定を担当した職員が、DNA鑑定の数値などを書き留めた過程を記したメモを廃棄している。これについて批判の声があるが、検察側はメモの廃棄は問題ないとしている。