非電化

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非電化(ひでんか)は、電気を使わないこと。ここでは、主に鉄道路線の事例について紹介する。

概要[編集]

電車はモーターの電流の向きを変えるだけで容易に方向転換[注 1]でき、折り返し時間を短く取れるため、本数が多ければ多い線区ほど電化したほうが得策であるが、諸般の事情により電化しない路線も存在する。

主な要因としては、以下が挙げられる。

需要が極端に少ない
最も典型的なパターン。電化には初期投資だけでなく、整備にもコストが嵩むため、需要が少なく列車が通らない路線では元から電化しないほうが得策となる。
かつては幹線ほど輸送量の多くない路線でも上越線や中央西線、伯備線などで高速化のために全線電化がなされ、需要の少ない路線でも運用や車両保守の合理化を目的に新潟県の越後線や関西の桜井線国鉄分割民営化前に電化された他、高山本線、宗谷本線などは電化が計画されていたが、気動車の性能向上もあり立ち消えとなった。加古川線、播但線寺前以南、小浜線などでは自治体の援助もあり簡易方式で電化された。
トンネルの狭さや拡大の難しさで電化が困難
需要が少ない土讃線、播但線寺前以北や関西本線亀山 - 柘植間の他、そこそこの需要がある高徳線や大村線などが該当。トンネルが極端に狭い場合は架線を張るスペースが確保できず、非電化のままとなる場合が多い。特に周辺が交流電化の場合は尚更である。もっとも、予讃線では鳥越トンネルが狭いにもかかわらず、電化を遂行した他、七尾線は周辺が交流電化であるにも関わらず、電源を直流とすることで和倉温泉以南を電化した。
地磁気観測所の所在もあり交流電化を断念
茨城県の鉄道路線に多い。関東鉄道常総線鹿島臨海鉄道大洗鹿島線JR水郡線南部ではそこそこの需要が存在するが、石岡市の地磁気観測所の存在で直流電化ができず、コストの面から交流電化は断念している。一方、千葉県の鹿野山にも国土地理院による地磁気観測所が存在するが、こちらは直直デッドセクション方式を採用して電化した。関東鉄道でもこの方式が検討され、試験も行われたがこちらもコストの問題で断念している。
立地条件の関係でデッドセクションが設けられず、電化を断念
仙石東北ラインが典型例。仙石線は直流、東北本線は交流だが、加速ができなくなることからデッドセクションの設置が断念され非電化で開業した。会社の境界である大雄山線小田原駅構内や南海電鉄和歌山市駅構内にも、直直セクションを設けられず非電化の箇所が存在する。
まとまった投資資金がすぐ確保できず、先に線路だけ敷設
札幌市電が北へ延伸した時、資金面から電化投資ができず、「路面ディーゼルカー」で開業した。
国家保安上の理由
弾丸列車蒸気機関車併用で計画されたなど、戦前は陸軍が、変電所破壊の危険性もあり官鉄線の電化推進に反対していた。韓国では近年までこれを理由に非電化大国であった。

今後[編集]

前述の通り、電化は整備コストが嵩むため、近年は電化の廃止を行う路線もある。また、電気式気動車、蓄電池車、燃料電池車といった非電化区間を走行可能な電車が増加しており、電化の必要性は相対的に減少している。

もっとも、環境対策のために電化したり、特急列車・貨物列車が走る以上電化を廃止できなかったりという例も存在するため、一概に電化・非電化のどちらかが良いとは言い切れない。

電化の廃止[編集]

詳細は「電化の廃止」を参照

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  1. 液体式気動車で方向転換するためには逆転機の装備が必要。また最も構造が簡易な単端式気動車蒸気機関車のようにターンテーブルが必要だった。