雷ナウキャスト
雷ナウキャスト (かみなりナウキャスト) とは、気象庁が発表する雷の情報である[1]。2010年5月27日から運用が開始された。
概要[編集]
雷の激しさや雷の可能性を1km格子単位で解析し、その1時間後(10分~60分先)までの予測を行うもので、10分毎に更新して提供される[2]。
雷の解析は、雷監視システムによる雷放電の検知及びレーダー観測などを基にして活動度1~4で表す。予測については、雷雲の移動方向に移動させるとともに、雷雲の盛衰の傾向も考慮している[2]。
雷ナウキャストでは、雷監視システムによる雷放電の検知数が多いほど激しい雷(活動度が高い:2~4)としている。雷放電を検知していない場合でも、雨雲の特徴から雷雲を解析(活動度2)するとともに、雷雲が発達する可能性のある領域も解析(活動度1)する[2]。
なお、雷の発生源である積乱雲は急発達することもあり、活動度の出ていない地域でも天気の急変には注意する必要がある[2]。
活動度 | 雷の状況 | 屋外に置いて想定される対応 | 屋外や工場などで想定される対応 | |
---|---|---|---|---|
4 | 激しい雷 | 落雷が多数発生している。 | 屋外にいる人は落雷の危険があるため、建物や車の中へ移動するなど、安全確保に努める。屋内にいる人は外出を控える。 | パソコンなど家電製品の電源を切り、コンセントを抜く。工場の生産ラインなどリスクの大きい場所では、作業の中止や自家発電への切り替えなどの対応を取る。 |
3 | やや激しい雷 | 落雷がある。 | ||
2 | 雷あり | 電光が見えたり雷鳴が聞こえる。 | ||
1 | 雷可能性あり | 現在は雷が発生していないが今後落雷の可能性がある。 | 今後の雷ナウキャストや空の状況に注意する。 |
活動度1-4になっていない地域でも、積乱雲が急発達して落雷することもある[3]。
雷ナウキャストの事例[編集]
2008年8月19日の夕方、関東地方では寒冷前線の通過に伴う激しい雷雨が発生。18時頃に茨城県水戸市や石岡市で、落雷により火災が発生した。 雷雲の移動が早いことから、被害地域は突然雷雨に見舞われた[4]。
雷ナウキャストでは、16時の時点で、関東北西部の広い範囲で既に発雷が始まっており、徐々に雷雲が発達を始めていた。 活動度1は次第に茨城県にも広がっており、17時の1時間予報では、水戸市や石岡市付近では活動度2以上となっており、落雷の可能性が高くなっていた[4]。
雷ナウキャストの利用と留意点[編集]
前述の通り、雷ナウキャストでは、既に発生している雷(活動度2~4)や、今後落雷の可能性のある領域(活動度1)を10分ごとに更新する。雷ナウキャストを利用する場合、常に最新の状況や予報を確認し、避難行動につなげることが重要である[5]。
活動度2~4は、既に積乱雲が発生しており、いつ落雷があってもおかしくない状況である。これらが表れている領域では、直ちに建物の中など安全な場所へ避難が必要となる[5]。
活動度1は、雨雲が雷雲に発達する可能性があることを表す。活動度1が現れた領域は、1時間以内に雷が発生する可能性があることを認識した行動が必要である。避難に時間がかかる場合は、雷注意報や活動度1の段階から早めの対応を心がける必要がある[5]。
なお、雷監視システムは全ての雷を捉えられるわけではない。雷鳴が聞こえるなど雷雲が近づく様子があるときは、速やかに安全な場所へ避難しなければならない。また、活動度の出ていない地域でも、急に積乱雲が発達することもあるため、天気の急変には注意が必要である[5]。
脚注[編集]
- ↑ 雷ナウキャストの提供開始 (一部改変あり)
- ↑ a b c d “気象庁|雷ナウキャストとは”. www.jma.go.jp. 2020年10月18日確認。
- ↑ “気象庁|雷ナウキャストの見方”. www.jma.go.jp. 2020年10月18日確認。 (一部改変あり)
- ↑ a b “気象庁|雷ナウキャストの事例”. www.jma.go.jp. 2020年10月18日確認。 (一部改変あり)
- ↑ a b c d “気象庁|雷ナウキャストの利用と留意点”. www.jma.go.jp. 2020年10月18日確認。 (一部改変あり)