走時曲線

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走時曲線(そうじきょくせん、: Time-distance curve、Travel-time-curve)は、地震学における用語である。地震波が、震源から観測地点に伝わるまでに要する時間を地震波の「走時(そうじ)」と呼び、震源から観測地点までの距離と走時の関係とを表したグラフのことを「走時曲線(そうじきょくせん)」と呼ぶ[1][2]

概要[編集]

走時曲線は、縦軸に走時をとり、横軸に各観測点の震央距離をとった時に描かれる曲線であり、走時を震央距離の関数として描く。震源から近い地点には表面波が先に到達し、逆に遠い地点には屈折波が先に到達するという関係も示す。

走時曲線を調べることにより、地震波速度や震源の深さなどを知ることができるほか、地球内部の層状構造などを研究する手がかりを得られる[3]。特に遠地地震の走時曲線を調べることにより、地球地殻マントル外核内核からなることがわかる。

走時曲線の折れ曲がり[編集]

クロアチアの地震学者であるアンドリア・モホロビチッチは、走時曲線は直線にはならずにどこかで折れ曲がるという法則を発見した[4]。モホロビチッチは、1909年にクパ渓谷で発生した地震の走時曲線から、いくつかの地震波は他の波より速く伝わっていることに気づき、この事実をP波の速度が急に変わる不連続面によって解説し、「モホロビチッチ不連続面」と呼ばれるようになった。地下30kmから60kmの間にモホロビチッチ不連続面があるため、浅発地震の場合、震央距離150~300km程度の陸地で折れ曲がる[5]。モホロビチッチ不連続面より上を「地殻」といい、下を「マントル」という。地殻では、地震波の伝わる速度が遅いが、逆にマントルでは速いのである。

脚注[編集]

  1. 走時曲線”. rika-net.com. 2020年12月14日確認。
  2. 地震波の走時曲線”. 防災科学技術研究所. 2021年3月14日確認。
  3. 走時曲線』 - コトバンク
  4. 地球の構造-1-”. www.s-yamaga.jp. 2020年12月14日確認。
  5. 高校地学”. www.edu.pref.kagoshima.jp. 2020年12月14日確認。

関連項目[編集]