桂田精一
桂田 精一(かつらだ せいいち、昭和38年(1963年)6月29日 - )は、日本の実業家・陶芸家である。知床観光船浸水事故を引き起こした知床遊覧船の社長として知られる。
生涯[編集]
北海道斜里郡出身。同網走南ヶ丘高校卒業。父親は斜里町議員を務めていた地方の有力者だという。
実業家になる前は陶芸家として、百貨店で個展を開くほどの実力を持っていたとされている。
桂田一族は実業家一族だったようで、桂田の祖父や叔父も実業家だった。桂田は平成19年(2007年)に父親から事業を受け継いで、有限会社しれとこ村の社長に就任し、ホテル経営を行なっている。知床遊覧船は前の社長が高齢になったため、平成28年(2016年)に4000万円の資金を出して自ら買いとったとされている。なお、斜里町商工会の理事を務めている。
私生活では48歳の時に最初の妻と離婚。55歳の時に自身よりおよそ20歳ほど年下の女性とできちゃった婚で再婚し、2番目の妻との間には2人の子供がいるとされている。なお、遊覧船沈没の日に桂田は病院にいたとされるが、これは2番目の子供が生まれ退院するので迎えに赴いていたとする説がある。
令和4年(2022年)6月14日、桂田が運航していた「知床遊覧船」の事業許可を取り消すのを前に、同社側に釈明の機会を与える聴聞を国交省北海道運輸局が実施したが、桂田や同社側の人間は誰も出席しなかった。それどころか桂田は「(自己責任が)当社のみにあるとするのはおかしい。国にもある」などという不服を申し立てる社長名義の陳述書を提出した。陳述書はA4サイズで数ページにわたり、事故原因に関する記述や社長らが聴聞を欠席した理由の説明などは無く、運輸局が指摘した法令違反を一部認めない部分などがあったとされる。
人物像[編集]
桂田は評判が非常に悪い。特に実業家としての評判は悪すぎるものが非常に多く、周りの証言も否定的なものばかりである。
陶芸家として[編集]
桂田は東京のデパートで何回も個展を開けるほどの腕前だったという。個展を開けること自体、陶芸家としての評価は高かったと見るべきではないかと思われる。なお、自らが経営しているホテルに自らの陶芸作品を展示していたとする説もある。
実業家として[編集]
- 元々、陶芸家上がりだったためか実業家としての知識・経験などはほとんどなく、そのためホテル経営は借金だらけだったという。また桂田自身「非常にお金にだらしなかった」と周りから酷評されるほどお金にだらしなく、最初の妻と離婚した原因は桂田の金遣いにあったのではないかとする説がある。
- 遊覧船についてはさらに評判が悪く、「社長は海のこと、船のことなど何も知らない」「ブラック企業」「ベテランを全て解雇して、バイトを雇った」など様々な悪評がある。遊覧船は荒天の場合は出航しないのが基本なのだが、桂田は「荒天でも出せ!」と安全面を度外視して利益を優先するような発言をしていたという証言すら浮上している。そもそも、小型観光船はゴールデンウイークから就航するのが通例なのに、知床遊覧船だけ1週間近く前倒ししたのは利益を優先したから、すなわち桂田が天候を無視して安全を軽視した結果が今回の大惨事を生んだのではないかとする憶測まで浮上している。
- 桂田は知床の沈没事故から5日もたってから記者会見を開催しているが、その会見でも責任を船長になすりつけるような発言をしたり、「海が荒れれば引き返すとの条件付きで事故当日の出航を認めた」ことも明らかにするなどして、地元民をはじめ多くの人から反発を買っている。なお、桂田の発言を受けて国交相の斉藤鉄夫は「(桂田は)数字についてあやふやな受け方をしている場面があったが、数字を明記した安全管理規程があり、その徹底を常に指導しているところです。条件付きはあり得ないものだと考えている」と批判している。
- 2022年4月29日に桂田は経営するホテルの従業員に対し、SNSで「(観光遊覧船は)深い所をまわるので、水が漏れるような座礁はしない。ただ、クジラに当たったり、突き上げられると穴が空く可能性はある」として、確たる裏付けがないまま、事故原因は高波や座礁ではなく、鯨あるいは何らかの動物との衝突と主張したとされる。さらに桂田は「船が予定通り(午後1時に)戻れれば、(波高は)1メートル前後の許容範囲内だったことがわかります」と記した。続けて、事故があった4月23日のウトロ漁港の気象データを送信し、正午の波高が0.69メートルだったことを示した。ただ、実際には午後1時の波高は1.88メートルで、予定通りに戻っていても、コース上の波高は同社の運航基準で定めた1メートルを超えていた可能性がある。桂田は4月27日の記者会見で当日の運航について「今となれば、判断は間違っていた」と謝罪したが、会見2日後に送ったこのメッセージでは運航判断などを自己正当化しているとも取れる。さらにメッセージでは「マスコミは面白がり物語を作ります。なるだけテレビを見ないで」とも記しているなど、全く事故について反省していないことが伺える行為をしている。
- 桂田は記者会見ですぐに土下座して謝罪しているが、この行為が逆に「パフォーマンス」「誠意が無い」など、むしろ酷評されている。桂田はこれ以外にも様々な誠意が見られない言動が繰り返されている。
- 4月28日、斜里町に設置された遺体安置所を桂田は初めて訪れ、献花台で手を合わせたが、花は持参しなかった。
- 被害者家族に対する説明会を欠席したり、説明会で足組みをしていた。
- 会見の際に笑っていた。
- 会見の際に「(被害者の家族に対して)なんでもしてあげたい、あらゆることをしてあげたいと思った」などと他人事のように発言した。
- 多くの芸能人が桂田の記者会見における言動に対し、「誠意が見られ無い」など批判している。
- 会見前日の4月26日、桂田が知人に電話した際の音声が公開され、その中で、桂田は自身が経営する宿泊施設の今後について「基本的には(船と)別会社なので宿の方は問題ないと思います」としつつ、「風評被害」を気にしていたことが明らかになった。また、犠牲者への保険金について「(乗客は)24名だから1人最高1億円出しても、まだ余るような形なので、そちらの方は問題ないかと思うんですけど…」と言い、マスコミの報道については「今、マスコミで流れてるのって、大方嘘で結構捏造されてるんですよ」と話していた。
- 桂田は船のことも海のことも知らないと周りから証言されているが、地元の同業者によると「(桂田が)船乗っているのを見たことない」と新たに証言されている。なお、遊覧船を運航するためには運航管理者の資格が必要であるが、桂田は被害者の家族に当初はカズワンの船長であるAが運航管理者であると偽って説明していた。さらに言うと、船の運航管理者になるには「海上運送法施行規則」があるが、桂田はこの法律上の要件を満たさないまま運航管理者を務めていた可能性が高いとされている。ちなみに運航管理者になるための要件は「1.船長として3年以上または甲板員として5年以上の経験がある者」「2.運航管理の3年以上の経験」「地方運輸局が1、2と同等以上の能力があると認めた場合」である。
- 桂田は「よく嘘をつく」という元従業員の証言がある。
- 桂田は当初、知人に「(乗客は)24名だから1人最高1億円とか出してもまだ余るような形なので。そちらのほう(沈没したカズワンの引き揚げ費用)は問題ないかと思うんですけど」と話し、定員65人分の保険金から船の引き上げ費用を捻出できると考えていたらしい。つまりこの時点で経営者どころか、保険に関する知識すらないのがよくわかる。保険が適用されるのは事故に遭った24人分のみで、運航会社への費用請求はついては「社長には資産がない。国が負担せざるを得ない」とする関係者の発言から、一部を国が負担する方針になった。つまり、引き揚げ費用には税金が投入されることになる。
桂田が経営しているとされるホテル[編集]
- 世界自然遺産の宿しれとこ村(北海道斜里郡斜里町ウトロ中島125)
- 流氷と温泉の宿 海に桂田(北海道斜里郡斜里町ウトロ東361)
- ホテル地の涯(北海道斜里郡斜里町岩尾別温泉内)
- SIRETOKO HOTEL HANARE(北海道斜里郡斜里町ウトロ中島125)