廃線
廃線とは、鉄道会社が線路を手放し、保持・管理を放棄することである。
概要[編集]
線路を保有すると、管理コストがどうしてもかかってしまう。そのため、不要となった鉄路の保守を放棄することがあり、これを「廃線」と呼ぶ。ただし、土地の所有権は引き続き権利を有し、税の支払いもしなければならない。
廃線の理由[編集]
以下の様な理由で廃線されることがある。
- 線路上で営業運転しても、採算が取れない
- 災害、戦争等で破壊され、復旧に多額の費用がかかる、もしくは復旧させるメリットが消失
- 路線のルート変更、あるいは駅の移転や統合により、旧ルートが不要になった
- 工場・物流施設等の引き込み線の場合、鉄道貨物輸送をトラック輸送に切り替えた
- 国境が変わり、新たに国境線を引かれた区間が廃止となる
普通、廃線と言えば1.を指すのが一般的である。日本の場合、営業運転できない場合は廃線にしてしまうが、上下分離方式の進んだ海外では、線路を残しておいて、たまに季節列車を運行させたり、数年後に営業運転が復活するケースもある。
2.は、大規模なものだと沖縄県営鉄道、気仙沼線や大船渡線、小規模なものだと四日市あすなろう鉄道八王子線の西日野以遠、アルピコ交通上高地線の新島々以遠などが該当する。
3.や4.は、都市部も含め全国各地で見られ、マイナーどころの廃線跡となっている。
5.は、日本では例が無いが、海外では非常によく見られる。
廃線後の営業形態[編集]
旅客輸送の場合、バス輸送に切り替えられることが多い。バスだと鉄道と比べて時間がかかる上に定時性が無く、道路条件によっては乗り心地も悪化するので、ほとんどのケースで廃線前より大幅に乗客を減らし、そのバス路線すら廃止になることも多い。また廃線となった地域でも、長距離移動が難しくなったとの声が聞かれる[1]。しかし、公道を運行することにより線路の維持・保守が必要なくなるので、交通営業会社としてはコスト削減になる。勿論、道路を管理する側のコストが増えているわけだが、それがどのぐらいなのかを示すデータはなかなか出ない。
一方、廃線跡が鉄道路線として復活するケースもある。可部線のあき亀山駅 - 可部駅間が有名。
貨物輸送の場合、トラック輸送に切り替えられることが多い。
廃線跡[編集]
放棄されたり、道路に転用されたり、様々である。操車場跡を活用した八尾市立病院やららぽーと新三郷、貨物駅跡を活用したハーバーランドやグランフロント大阪など、ヤード跡は大規模施設に転用されることがある。
一方、引き続き公共交通路線として使われるケースもある。かつてであれば白棚線、近年であれば気仙沼線・大船渡線が、バス専用道として生まれ変わった。一応、定時運行できることを売りとしている。しかし、単線の線路を転用したバス専用道だと行き違いができず、スピードも出にくいので、高規格な道路が並行している場合は不利となる。一般道と専用道を直通する場合は定時運行も難しい[2]。これに、道路の維持・保守コストがのしかかるので採算がとれないことから、この方式はなかなか広まっていない。
また、放棄された廃線といえども鉄道事業者の私有地であり、無断で立ち入ることは違法行為である。さらに、危険な野生動物が生息している可能性があるほか、老朽化した土木構造物が崩壊する可能性があり、危険であるため、立入は慎まなければならない。