広津和郎

広津 和郎（ひろつ かずお、1891年12月5日‐1968年9月21日）は、日本の作家。東京都の出身。

人物

作家・広津柳浪の次男として東京市矢来町に生まれる。早稲田大学文学部英文科卒、在学中に葛西善蔵、谷崎精二らと同人誌『奇蹟』を創刊する。評論「怒れるトルストイ」、小説「やもり」などで世に出る。昭和6年に発表した「女給」に、菊池寛をモデルとした人物が、もてない男として描かれており、新聞広告で「文壇の大御所」と書かれていたため、怒った菊池が掲載誌の『中央公論』編集部へ乗り込んで、編集者の頭を殴るという事件が起きている。代表作に「報知新聞」連載の長編『風雨強かるべし』(1933)がある。宇野浩二とお神酒徳利のように親しく、戦後は松川裁判に関するルポで知られた。1963年、回想記『年月のあしおと』で野間文芸賞、毎日出版文化賞を受けた。

戦前の作家では一番女にもてたと言われ、数々の女出入りが激しいが、『続年月のあしおと』に書かれたX子の話が一番激しい。長女・広津桃子は随筆家。

作家としてそれほど評価できないと谷沢永一などは、『広辞苑』に載っていることに異議を申し立てている。