季節予報

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季節予報(きせつよほう)は、気象庁が行う気象予報の一種である[1]。「長期予報」ともいう。1か月間や3か月間といった期間全体の大まかな天候を、3つの階級に分けて予報するものである[2]数値予報モデルを用いて将来の天候を予測している。

対象となる現象[編集]

季節予報では、向こう1か月間や3か月間の天候を予報の対象とする。ただし、1か月後までや3か月後までの毎日の天気を予報するものではない[3]

例えば、向こう1か月間の予報をする1か月予報では、来月のある日の天気を「晴れ」「雨」といったように断定して予報するのではなく、1か月間の大まかな天候を「向こう1か月間は曇りや雨の日が多い」のように、期間の大まかな天候を予報する[3]

季節予報では、平年の状況と比べてどのような天候が見込まれるか、という点に注目されるのも特徴である。ここでいう平年の状況とは、1981年~2010年までの30年間平均の状況を表す。つまり、「今年の夏はいつもの夏よりも暑い。」といったような「いつもの夏(平年)」という基準からどれくらいずれているか、ということが予報される。 この平年からのずれを予報するために、期間の大まかな天候を3つの階級に分けて予報するのである[3]

3つの階級[編集]

季節予報では、1か月間や3か月間の平均的な天候(気温降水量など)が平年よりも低く(少なく)なるのか、平年並となるのか、平年よりも高く(多く)なるのかを予報する[4]

この「低い(少ない)」、「平年並」、「高い(多い)」といった3つの階級は、1981年~2010年の30年間の値のうち、11番目から20番目までの範囲を「平年並」として、それより低ければ「低い」、高ければ「高い」と定めている。このように3つの階級を定めることで、過去30年間の値では3つの階級それぞれの出現回数が10回ずつとなり、出現率が等分(33%ずつ)となる。これを「気候的出現率」という[4]

たとえば向こう1か月間の平均気温を予想するとして、もし予測資料が何もないと、「低い」となる確率、「平年並」となる確率、「高い」となる確率はすべて等しい(気候的出現率)と予想することになり、各階級の予報確率は33%、33%、33%となる[4]

季節予報は、気温、降水量などを3つの階級に分けて、3つの階級のうちのどの範囲に入るかを確率を使って予報する。 季節予報の地図表示で、地域名の下に並んでいる3つの数字は、左から順に「低い(少ない)」となる確率、「平年並」となる確率、「高い(多い)」となる確率を表している[5]

「向こう1か月の平均気温は「低い」となります。」と断定するのではなく、たとえば「「低い」となる確率60%、「平年並」となる確率30%、「高い」となる確率10%」というように、3つの階級それぞれが発生する可能性の大きさを確率で予報する[5]。 この「気温が「低い」となる確率60%」という予報は、これと同じ予報を100回発表したとき、そのうち約60回は実際の気温が低い階級になると予測していることを意味する。一方で、100回のうち約10回しか「高い」とならないという予測であることも意味する。 また、季節予報はあくまでも確率を予報するものであり、「「高い」となる確率が80%」という予報と、「「高い」となる確率が40%」という予報を比べても、80%の方が気温の平年差が大きいと予測しているわけではない(ただし、確率的に期待される気温(期待値)としては、80%の方が高くなる)[5]

天気予報との違い[編集]

季節予報には、天気予報や週間天気予報と異なる点がいくつかある[6]

最も大きな違いは予報期間の長さである。週間天気予報では1週間先までの日単位の天気を予報するが、1週間より先になると日々の天候を左右するような移動性の低気圧や高気圧の予測が困難になるため、季節予報では1週間や1か月間を平均した大まかな天候を予報する。また、局地的な天候を予測することも困難になるため、北海道地方や東北地方といった地域の平均的な天候を予測する[6]

季節予報では、予測の不確実さを表現するために確率表現を用いている。具体的には、天気予報では「明日は晴れるでしょう。」や「明日の最高気温は25℃です。」といった断定的な予報(決定論的予測)を発表しているのに対し、季節予報では「今後1か月の気温が「高い」となる確率は50%です。」というような確率表現(確率的予測)を用いた予報を発表している[6]

季節予報の種類と内容[編集]

季節予報には、以下の4種類の予報がある[7]。1ヶ月予報は数値予報のみであるが、その他は統計的手法も使用される。

1か月予報
発表日翌々日から1か月を予報。毎週木曜日14時30分に発表。予報する要素は、1か月平均気温、第1週・第2週・第3~4週平均気温、1か月合計降水量、1か月合計日照時間、日本海側の1か月合計降雪量である[7]
3か月予報
発表月翌月から3か月を予報する。毎月25日頃14時発表。3か月平均気温、3か月合計降水量、月ごとの平均気温、月ごとの合計降水量、日本海側の3か月合計降雪量を予報する[7]
暖候期予報
6月〜8月の予報。夏の平均気温、夏の合計降水量、梅雨時期(6月~7月、沖縄・奄美は5月~6月)の合計降水量を予報する。毎年2月25日頃14時に発表される[7]
寒候期予報
12月〜2月の予報。冬の平均気温、冬の合計降水量、日本海側の冬の合計降雪量を予報する。毎年9月25日頃 14時に発表される[7]

脚注[編集]

  1. 季節予報』 - コトバンク
  2. 季節予報って?(気象庁)
  3. a b c 季節予報が対象とする現象 - 気象庁(一部改変)
  4. a b c 3つの階級について - 気象庁(一部改変)
  5. a b c 確率表現の見方 - 気象庁(一部改変)
  6. a b c 天気予報と季節予報の違い (一部改変)
  7. a b c d e 季節予報の種類と内容(一部改変)