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公道レース
公道レースとは、公道を競技路として利用して行われる陸上競技ないしモータースポーツである。また、走り屋などが違法に行う暴走行為を指すこともある。
概要[編集]
一般的にモータースポーツはクローズドサーキットで行われるものが主流であるが、ラリー競技の一部は一般車に交じって競技を行うものもある(第一種アベレージラリーなど)。また、F1においてもモナコGPのように普段は交通用に供されている道路を閉鎖し、市街地コースとする例も少なくなく、マン島TTのように島の半分の道路をサーキットとして使用する例もある。
マラソンや自転車のロードレースなども公道を利用して行われるレース競技であり、特に駅伝競技については日本でも身近なものになっている。
いずれにしても所轄の警察署への道路使用許可が必要であり、長期間道路を封鎖することから交通封鎖による損害を上回る公益性があることや沿線住民の合意形成が必要であるなど、一般工事などに関する使用許可よりもハードルが高いものとなっている[1]。
公道レースの例[編集]
- 四輪以上の自動車レース
- ル・マン24時間レース - 使用されるサルトサーキットにおいて、ユノディエール(ミュルサンヌ・ストレート)と呼ばれる超ロングストレートを含む大部分が公道区間である。
- フォーミュラE - 2024年から東京の有明において、ビッグサイトの一部と周辺道路を閉鎖して作られる東京ストリートサーキットが使用されている。
- 世界ラリー選手権 - ラリー競技のうち、公道を封鎖して全開タイムを競う区間であるスペシャルステージラリーを主としたラリー型式。スペシャルステージとスペシャルステージの移動区間はリエゾン区間と呼ばれ、指定時間より早く着いた場合はペナルティタイムが課される。なお、すべてのラリー競技車は開催国の車検に適合する必要がある。
- 二輪車レース
- マン島TT - 世界一危険と呼ばれる公道レース。一般道で300km/hを超えるスピードで疾走し、ひとたび事故が発生すれば運が良くて生還と言われるほどである。なお、東京都ではこれを基に三宅島で公道レースの開催を模索していた時期もあった。
- レーシングカート
- A1市街地グランプリ - 2020年に島根県で開催された公道で行われるレーシングカートレース。日本初の公道レース[注 1]とされている。
- 陸上競技
このほか、トライアスロンや競歩なども公道を使用(封鎖)して開催されることがある。
- 自転車競技
- ツール・ド・フランス - ロードレースの中でも特に知名度の高い大会であり、21ステージから構成される3300kmを走行する大規模なロードレースである。
- ツアー・オブ・ジャパン - 日本で開催されるステージ制のロードレース大会である。一部大会においては一周3km程度のクリテリウムとなっていたこともある。
課題[編集]
公道を使用するレースであるため、通常の競技路では発生しえない問題点が多く存在する。特に高速度域で走行する自動車レースの場合、マンホールなどの路上構造物がスリップの原因となるほか、通常の設計速度をはるかに上回る速度で走行するためグリップ力が不足することも多い。また、サーキットなどに設けられているエスケープゾーンが十分でない場所も多く、クラッシュ時ドライバーや観客への危険が非常に高いという課題もある。
交通の遮断も問題であり、特に沿道に住んでいる者からすれば家に自動車で出入りすることはほぼ出来なくなる。また、観客や競技車両の騒音に悩まされることも当然発生しえる。また、道路の封鎖はできても交差する鉄道路などの封鎖まではできないこともあり、場合によっては競技者に不利となることもある。
また、少なくない頻度で一般車や観衆の侵入もあり、2023年のツール・ド・北海道における通行規制中の道路に15台の一般車両が進入し、そのうちの1台が選手と衝突して死亡事故になったこともあるほか、2024年のラリージャパンにおいて妨害意図をもって強行突破した例もある。2025年の箱根駅伝においても中国人とみられる男性がコース内を並走し物議を醸した。
違法な公道レース[編集]
上記の合法なものの他、非公式かつ違法に行われる公道レースも多く存在する。これらの行為に手を染める走り屋は違法競走型暴走族と呼ばれ、速度が伸びる高速道路のみならず峠道でも行われるものである。当然ながら道路交通法違反の犯罪行為であり、摘発されれば違反点数などにより免許取り消しになる可能性に加え、懲役や罰金が課せられる場合がある。事故を起こした場合は刑事事件に加え、損害賠償などの民事裁判により被害者へ補償する義務も発生する。
種類[編集]
走り屋についてはその類型によりいくつかの呼び名がつけられている。
詳細は「走り屋」を参照
警察対策[編集]
警察に捕まらないために、以下のような対策が行われている。
- 料金所突破
- 道路整備特別措置法の違反行為に当たり、免れた通行料金と割増金(免れた通行料金の2倍に相当する額)を請求される。
- ナンバープレートを隠す
- チーム名や車種名を書いたダミーのナンバープレートを装着し、ナンバーを隠すことでオービスによる検知を回避できる。なおこれは道路運送車両法の違反行為に当たる。
- レーダー妨害器(レーダージャマー)の搭載
- 電波法違反に当たる。
- 違法ではない対策
- レーダー探知機の使用
- 国によっては違法だが日本においては合法。(フロントガラスへの貼付・固定は場所により違法)
- 警察の取り締まり位置、オービスの位置が記載された地図の使用
- 警察の前でだけ減速
- むしろ警察の狙い通りではあるとも言えなくはない。
警察側の対策[編集]
- オービスの大量設置
- オービスを大量に設置する。今は数を減らしているがHシステムは当時環状族と言われる公道レース愛好家が多数いた阪神高速に設置されたことからHシステムと名付けられた説がある。(Hanshin ExpresswayのHから)
- 溜まり場となっているPAの封鎖
- よく大黒PAなどで行われている。
- 検問の実施
- 違法改造車を摘発するために車両を抜き打ちで検査する。
- 都心環状線では本線上にて行われることもあるが基本はPAやICなどで行われる。
- 黒バイ隊の投入
- 覆面バイクを投入し、特殊なペイントなどでマーキングし後日検挙する。
脚注[編集]
注釈[編集]
- ↑ 2台以上が同時に発走かつ、周回路となる仮設サーキットを走行するもので合法のレース
出典[編集]
- ↑ https://www.pref.tottori.lg.jp/121832.htm 催し物、路上競技及びカーレースに伴う道路使用許可取扱要領の制定について(例規通達) - 鳥取県警察