偏差値

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偏差値(へんさち)とは、数値データを相対評価する方法の一つである。

概要[編集]

試験を受けた人の点数など、複数個ある数値データを、平均が50、標準偏差が10になる様に調整し、全体の中でどのあたりの位置にあるかを数字で示す指標である。なお標準偏差は、「平均点との差」の平均(正確には二乗平均平方根)にあたる数値である。

用途[編集]

統計全般で適用できる考え方であるが、日本では成績評価に用いられることが一番多い。

模擬試験で受験生の成績を評価する場合、点数だけで評価するのは、作問者の裁量によって大きく変わるため、受験生の合格率を計算するには適していない。例えば、100点満点で30点しか取れなかったとしても、試験問題を難しく作りすぎたという可能性もあるので、点数だけで「出来が悪い」という結論を出すのはナンセンスである。そのため、問題の難しさによらず、他の受験生とだけ比較して高いか低いかを判定できるところに、偏差値の意味がある。また大手模試業者の試験であれば、例年母集団の層があまり変わらないので、偏差値の信憑性はそこそこ高い。

定義[編集]

偏差値=(数値データ-平均点)÷標準偏差×10+50で計算する。

性質、注意事項[編集]

以下、数値データが正規分布に従うと仮定して述べる。

50で平均。55,60,65,70を超えるのは、それぞれ概ね上位31,16,7,2%以内に相当する。母集団の99%が偏差値25~75の間に入るので、実質的に上限が75、下限が25という言い方をされることが多いが、実際にはもっと高い値や低い値もあり得て、上位約350万分の1は偏差値100を超えて、下位約350万分の1は偏差値0を下回ることになる。

また、偏差値は母集団に対してどのあたりの位置にいるかを意味する数字なので、「○○校の合格者は偏差値○○」という言い方はどの母集団を前提にするかによって大きく変わるので注意が必要。通常発表される偏差値は、「特定の種類の試験(模擬試験)で偏差値○○以上であれば○○校の入試に合格する可能性が高い」という意味であり、試験の種類が変われば当然違う数値になる[1]

功罪[編集]

生徒の成績を相対評価するのに使われることから、アンチ相対評価派からよく槍玉に挙げられる。しかし、偏差値を使わず点数での評価になると、「みんな100点満点で10点しか取れない難しすぎる試験で30点も取れた人が、劣等生扱いされる」ような事態が発生するため、偏差値のおかげで救われている生徒が多いのも確かである。

脚注[編集]

  1. あと、「合格する可能性が高い」を合格率何%に置くかによっても変わってくる