偏差値
偏差値(へんさち)とは、数値データを相対評価する方法の一つである。
概要[編集]
一般的にはσ(シグマ)という。まず複数個ある数値データの平均値を求め、平均値と個々のデータ値それぞれとの差の平方を総和し、それを母数で割って平方根を求める。さらにその後、3σ限界から外れた値を除いてふたたび同じことを行なうこともあるが、いずれにせよ正規分布を前提としているために、多少困ったことになる。
「試験を受けた人の点数など、複数個ある数値データを、平均が50、標準偏差が10になる様に調整し、全体の中でどのあたりの位置にあるかを数字で示す指標である。」とされるが、偏差値二十以下とか八十以上とかいったら、もはや判断がつかないというか、「そもそも設問と配点がおかしいんじゃねぇの?」という話になる。つまりは「このあたりが平均的だから管理しやすい」という話でしかない。
なお標準偏差は、「平均点との差の二乗平均平方根)にあたる数値」と定義されるが、平均的な教師や平均的な親には理解できない概念であるらしい。
用途[編集]
統計全般で適用できる考え方であるが、日本では入試での不合格者を減らすために教員が用い始め、やがて模擬試験の成績評価に用いられることが一番多くなっている。
模擬試験で受験生の成績を評価する場合、点数だけで評価するのは、作問者の裁量によって大きく変わるため、受験生の合格率を計算するには適していない。例えば、100点満点で30点しか取れなかったとしても、試験問題を難しく作りすぎたという可能性もあるので、点数だけで「出来が悪い」という結論を出すのはナンセンスである。そのため、問題の難しさによらず、他の受験生と比較して高いか低いかの立ち位置を判定できるところに、偏差値の意味がある。
なお、大手受験業者の模擬試験であれば、例年母集団の層があまり変わらないので、偏差値の信憑性はそこそこ高い。
いわゆる「標準偏差値」の定義[編集]
「偏差値=(数値データ-平均点)÷標準偏差×10+50で計算する。」と言われるが、平均点からの差をσで割って10を掛け、平均を50として調整したものをいう。
知能指数は平均を100として調整した値であるため、自閉界隈では 70 未満と 130 越えが和気藹々としていたりするので、「どの科目も、ほぼ平均値」とかいうと逆に肩身が狭い。だいたい IQ テストが「70 以上 130 以下」を対象とした設問なので、このあたりは「療育」と「エリート教育」との関係もあって悩ましい問題がある。
性質、注意事項[編集]
以下、数値データが正規分布に従うと仮定して述べる。
50で平均。55,60,65,70を超えるのは、それぞれ概ね上位31,16,7,2%以内に相当する。母集団の99%が偏差値25~75の間に入るので、実質的に上限が75、下限が25という言い方をされることが多いが、実際にはもっと高い値や低い値もあり得て、上位約350万分の1は偏差値100を超えて、下位約350万分の1は偏差値0を下回ることになる。
また、偏差値は母集団に対してどのあたりの位置にいるかを意味する数字なので、「○○校の合格者は偏差値○○」という言い方はどの母集団を前提にするかによって大きく変わるので注意が必要。通常発表される偏差値は、「特定の種類の試験(模擬試験)で偏差値○○以上であれば○○校の入試に合格する可能性が高い[注 1]」という意味であり、試験の種類が変われば当然違う数値になる[注 2]。
功罪[編集]
生徒の成績を相対評価するのに使われることから、アンチ相対評価派からよく槍玉に挙げられ、業者テスト追放施策のきっかけでもあるため文部科学省は評価の指標として事実上否認的な態度をとっている[注 3]。
しかし、偏差値を使わない評価になると、「みんな100点満点で10点しか取れない難しすぎる試験で30点も取れた人が、劣等生扱いされる」といった点数評価をされる事態が発生したり、体育や美術等の不得手な生徒が不利になるため、偏差値のおかげで救われている生徒が多いのも確かである。
日本国外では、特に欧米の大学評価において、偏差値が当然ながら評価の指標とされていないので、思考の切り替えが必要である。
関連項目[編集]
脚注[編集]
- 注