伝統の一戦 (日本プロ野球)

出典: 謎の百科事典もどき『エンペディア(Enpedia)』
ナビゲーションに移動 検索に移動

日本のプロ野球に於ける伝統の一戦(でんとうのいっせん)は、読売ジャイアンツ阪神タイガースの対決を指す。

概要[編集]

主にマスコミなどで、巨人と阪神の対戦を「伝統の一戦」と表現することがある。「西の景浦將、東の沢村栄治」「(職業野球は)沢村が投げて、景浦が打って始まった」とも呼ばれ、戦前の野球ファンの注目の的となった。

1936年に日本プロ野球が始まって以来、11シーズン中8度の優勝を果たしていた巨人に対して、阪神は残り3シーズンで優勝を果たすなど、プロ野球を代表する強豪同士だったといえる。実際、1949年までの1リーグ時代の対戦成績は阪神の85勝84敗3分と拮抗していた。しかし、2リーグに分裂した際に阪神の主力選手が大量に引き抜かれたせいで巨人との戦力格差が生じてしまい、さらに阪神の長い低迷もあり、2014年までの通算成績は阪神の777勝999敗67分で、81シーズン中の約7割に当たる56シーズンで巨人に負け越している。特に2リーグ分裂以降は巨人にリードを許すシーズンが長く続き、阪神は2リーグ初年度の1950年から1961年までは1度も巨人に勝ち越すことができず(1958年はタイ)、また1986年から2002年までは17年連続で巨人に負け越しており、1950年から2002年までの53シーズンで阪神が巨人に勝ち越したのはわずか6シーズン、タイが1シーズンと一方的な展開となっていた。

それでもこのカードが「伝統の一戦」と表現されるのは単純な勝敗を超えて、戦前の野球ファンの注目の的となった「沢村vs 景浦」に始まり、「ミスタータイガース・村山実 vs ミスタージャイアンツ・長嶋茂雄」「奪三振王・江夏豊 vs 本塁打王・王貞治」「ミスタータイガース・掛布雅之 vs 巨人のエース・江川卓」といった人気選手同士の真剣勝負など、日本を代表する人気球団同士のライバル関係も同時に示しているからである。

なお、2003年に阪神が18シーズンぶりに巨人に勝ち越してリーグ優勝を果たして以降は阪神の巻き返しが目立つようになり、2003年から2005年までは2リーグ分裂後初めて阪神が3年連続で巨人に勝ち越しており、また2009年から2011年までは3年連続でタイとなっているが、2012年から5年連続負け越しとなっている。

ちなみに巨人は対戦成績では中日ドラゴンズとの勝率の方が悪く、リーグ優勝やクライマックスシリーズ優勝を争うことが多々ある。親会社の関係からも中日とも宿命のライバル対決などと称されることがある。中でも1994年のシーズン最終戦で巨人と中日が同率首位で並び、勝った方が優勝が決まる「10.8決戦」は、プロ野球中継歴代最高視聴率48.8%を記録し、現在でも名勝負・最高の試合と語られている。尤も、中日の凋落が著しい近年ではこの限りでない。