伊予鉄道横河原線見奈良駅脱線事故
伊予鉄道横河原線見奈良駅脱線事故(いよてつどうよこがわらせんみならえきだっせんじこ)とは、2022年2月7日16時17分頃、伊予鉄道横河原線見奈良駅構内にて、同社3000系が何らかの原因により脱線したものである。
原因は現在、同社と運輸安全委員会で調査中。
概要[編集]
2022年2月7日16時17分頃、伊予鉄道横河原線を走行していた同社3000系3両編成(3506F、元京王電鉄井の頭線3000系・第25編成)の第92列車 普通 高浜行が見奈良駅構内に進入する際、ポイント付近で何らかの原因により進行方向前側、3306号運転台側の台車が脱線。妻面(連結面)側の台車以降は脱線せず、上り用2番線(松山市・高浜行ホーム)側に進入していた。
乗務員(運転士・車掌)2名、乗客13名が乗っていたが、いずれも怪我は無かった[1]。
事故による影響[編集]
郊外電車への影響[編集]
この事故により発生から翌日の8日終電まで梅本駅~横河原駅間では運転見合わせ、事故発生直後から電車は直通している高浜線高浜駅~梅本駅間での運転が行われた。尚、梅本駅は折り返しに対応しておらず、平井〜梅本間は指導通信式閉塞を併用して折り返し運転を行った。
バスによる振替輸送[編集]
不通区間である梅本駅~横河原駅間は振替バス(通常ダイヤと同じ約15分間隔)の運行が行われた。しかし、バスというその時の交通状況によって時間が左右される点と、電車とバスの乗り換えによるタイムロス、更に雨での利用者の増大、列車加速不良も重なり、ほとんどの便・列車で遅延が生じた。
事故発生後〜復旧まで[編集]
2月7日[編集]
発生は16時20分頃という帰宅ラッシュ直前での運転見合わせで混乱が生じかねない状況であったが、グループ会社に伊予鉄バスが存在していたため、振替輸送の手配はかなり早い段階で行われた。だが各駅での脱線事故に伴う運休や振替輸送についての掲示等は慣れない事故による社内の混乱の影響か、翌8日の午後まで行われず各駅への社員配置も充分ではなかったため利用客に混乱が生じ振替便に乗り遅れるなどの迷惑がかかった。
尚、当該列車の3506Fについては現場保全命令が発令されていたのか、前照灯・尾灯のみを消灯しパンタグラフ上昇、室内灯点灯という異例の措置を取り、そのまま翌8日の運輸安全委員会の事故調査中も通電させたまま、調査終了後の午後12時まで通電させ続けていた。
横河原方3506が停車し支障していた見奈良東踏切は7日の事故発生後作業員到着から当該列車撤収までの8日19時頃まで、踏切警報音(いわゆるカンカン音)を切り、遮断器と警報灯を動作させたまま作業終了まで通行止の措置を取った。
2月8日[編集]
8日10時ごろに愛媛県警察松山南警察署と運輸安全委員会の調査官2名が現地入りし、現場調査を行った[2](実際には運輸安全委員会の調査官2名と国交省関係者3名)。
8日12時頃に現地調査が終了し、復旧作業が開始、ここでパンタグラフを下げ電源遮断、作業開始から約6時間後の18時頃に当該の3306の復旧が完了、同時に破損したポイント(発条転轍機)や枕木、レールの復旧が開始された。
なお、高浜〜梅本間で折り返し運転中、公式HP等の発表内容では運休区間は横河原線 横河原〜梅本間と8日の第7列車 普通 横河原行の運休が発表されていた。しかし、実際は第26列車 普通 高浜行も運休させておりダイヤ乱れの混乱に紛れ旅客への案内をせず現場も運休を把握してない状況での一方的な運休が発生し、始発の梅本駅を8分程度遅れて発車した第18列車 普通 高浜行に旅客が集中し積み残しが発生した駅もあったがその際も旅客への案内は殆どなく同社の事故後への旅客対応の悪さに非難の声が集まった。尚、車内では車掌による謝罪放送等は各車掌に一任されていたのか、行われない列車もあった。
横河原線では8日夜3000系1編成を使用した試運転列車が松山市→横河原→見奈良→横河原の経路で運転され翌朝の始発列車に充当された。当該編成は8日夜、見奈良駅→梅本駅→松山市駅間を自力で走行、翌9日午前5時ごろに松山市駅→古町駅併設の車庫に回送された。これにより完全復旧し、9日始発より運転を再開した。[3]。
ジャッキからの落下[編集]
作業開始から約90分後の13時36分頃、突然3306が油圧ジャッキから落下、事故発生当時の位置よりも更に南側にズレてしまうアクシデントが発生。これによる怪我人は出なかったが、車両や枕木の破損範囲が広がった。
関連項目[編集]
脚注[編集]
- ↑ “伊予鉄道が一部区間で脱線”. NHK. 2022年2月7日確認。
- ↑ “伊予鉄道脱線 運輸安全委が調査”. NHK. 2022年2月8日確認。
- ↑ “伊予鉄 脱線の横河原線が運転再開”. NHK. 2022年2月9日確認。