プライベートジェット

プライベートジェット（Private Jet）とは、企業や富裕層が、自身のみが利用する目的で使うジェット機のことである。特に企業が所有する小型のものをビジネスジェット（Business Jet）と呼ぶことがある。航空機を運航する企業や個人の関係者以外は搭乗できない。相乗りを前提として運航される一般の旅客便とは対照的な特徴であり、さまざまな利点がある。

利点[編集]

決められた時刻表が無いため、基本的に所有者の予定に合わせて時間や行き先が設定できる。一般の旅客便が満席であったり、丁度いい路線が無い、といった状況であっても、プライベートジェットであれば柔軟に運航できる。燃料が十分に積め、空港が営業時間内であれば、あらゆる場所に直行することができる。

また重要な利点としては、時間の節約になることが挙げられる。航空会社カウンターでのチェックインやロビーでの待機時間を削ることができる。もちろん地上交通に比べて速達性も優れており、特に国土が広いアメリカ合衆国や国境を越える機会が多い欧州を中心に利用されている。

企業や富裕層にプライベートジェットが好まれる理由のひとつに、機内に関係者のみが搭乗できる、つまり機密が保たれることも挙げられる。特に重要な機密を知り得る企業の幹部等であれば、この点は大きな利点となる。これを活かし、機内での業務や商談などを行うこともできる。さらに上空は気圧が低く、判断力が落ちた状態で契約を結ばせることも可能である。[Joke ]

大型のジェット機を所有することは、広告宣伝としても利用できるかもしれない。自由に塗装を行えるからである。自分の顔写真を大きく示すことさえ可能である。

所有・運航[編集]

近年ではプライベートジェットの所有形態も多様化している。もっとも分かり易い所有方法は、ジェット機を企業ないし個人が直接所有する方法である。機内設備も自由に選択でき、利用目的に応じて様々なレイアウトを検討できる。

自社・個人で所有するほどの需要が見込まれない場合は、プライベートジェットの運航会社からチャーターする、という方法もある。いくつかのグレード・装備から、利用目的にかなう機を選択し、運航すれば、プライベートジェットの利点を最大限に享受できる。

プライベートジェットの運航に当たっては、専門の航空会社が担当することが多い。機体の整備、空港の使用や飛行計画の申請、実際の運航などは、専門性の高い業務であり、自社内にプライベートジェットの運航部署を設けることは難しい場合も多い。

日本における状況[編集]

日本国内では、国土がアメリカほど広くないし、小型機が気軽に飛来できる空港も多くないため、利用は限定的である。しかし、国土交通省は訪日客の需要の増加を見込んで、発着制限の緩和や専用施設整備などの利用環境改善の取り組みを促進している。

たとえば羽田空港では、国際線ターミナルに、専用のCIQ（出入国管理・税関・検疫）施設を備えた専用ゲートを設置したり、沖合移転前にターミナルとして使われていた「Nエリア」を実質的にプライベートジェット専用の駐機場とするなど、整備を行っている。

平成30年（2018年）の日本での発着回数は1万6830回以上であった。