ニホンメダカ

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ニホンメダカ(:Oryzias spp.)とは、日本に分布する二種のメダカをいう。

概要[編集]

日本には、キタノメダカミナミメダカが分布する

この両種は、正式的な隔離が無く、兵庫県京都府の但馬、丹後地方にはハイブリッド(境界)集団がいる。

信濃川水系や由良川水系には両種が生息するが、生息域が異なる為、交雑はしない。しかしながら、飼育下では交雑する事が知られている。

形状的な差は少なく、生殖的な隔離が無い事から、キタノメダカとミナミメダカは独立種というよりも亜種の関係にあるとみたほうがよいのではないか?とする説もある[1]

歴史[編集]

かつては、日本国内のメダカは、「メダカ (:Oryzias latipes )」1種のみとされていた。

1980年の研究で、アロザイム分析の結果から日本国内のメダカは、2集団に分かれるという結果になった[2]

1993年にはこの2集団が地域的に明確に分かれていると分かり、それぞれに「北日本集団」「南日本集団」と命名。

翌年94年には中間の境界集団も発見された[3]

2012年、北日本集団が”Oryzias sakaizumii”として新種記載された[4]。翌年2013年には「北日本集団」に『キタノメダカ』と命名され、「南日本集団」は『ミナミメダカ」という名称に改名された。

区別点[編集]

Asai et al. (2012)を元に作成[4]

# キタノ
メダカ
ミナミ
メダカ
備考
体側の黒色素 鱗縁に沿い、色素が密で網目状に分布 鱗の中間部に散在
背鰭の切れ込み 軟条の半分以上 軟条の半分以下 切れ込みは雄のみ存在する。
飽くまで傾向で、ミナミにも半分以下の物がいる[1]
銀色の鱗 10~23個が点在 0~9個 宮津・舞鶴・新潟集団のみで認められ、他集団には無い[1]

脚注[編集]

  1. a b c 尾田正二「新種としてのキタノメダカへの異論」、『環境毒性学会誌』第19巻第1号、環境毒性学会、2016年、 9-17頁、 doi:10.11403/jset.19.9
  2. Sakaizumi, M.; Egami, N.; Moriwaki, K. (1983). “Allozymic Variation in Wild Populations of the Fish, Oryzias latipes”. Copeia 56 (7): 311-318. doi:10.2183/pjab.56.448. https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjab1977/56/7/56_7_448/_article/-char/en. 
  3. Sakaizumi, M. (1994). “Rigid isolation between the northern population and the southern population of the medaka, Oryzias latipes. Zoological Science (Zoological Society Of Japan) 1 (5): 795-800. doi:10.34425/zs000086. https://zdw.zoology.or.jp/Abstract/10.34425/zs000086. 
  4. a b Asai, T.; Senou, H.; Hosoya, K. (January 2012). Oryzias sakaizumii, a new ricefish from northern Japan (Teleostei: Adrianichthyidae)”. Ichthyological Exploration of Freshwaters 22 (4): 289-300. ISSN 0936-9902. https://www.researchgate.net/publication/267828717_Oryzias_sakaizumii_a_new_ricefish_from_northern_Japan_Teleostei_Adrianichthyidae.