クリープ現象

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クリープ現象(くりーぷげんしょう)とは、チェンジレバーがDの位置の状態で、アイドリング時に、ブレーキを離して、アクセルを踏まずとも進行する現象のことであり、マニュアルトランスミッション搭載車以外で発生する現象を指す言葉である。

概要[編集]

オートマチックトランスミッションは動力の伝達にトルクコンバータを用いるものが多く、このような液体を用いて動力の伝達をする場合は動力伝達を完全に遮断することができないために発生する現象である[注 1](なお、動力を伝達しないPやNレンジでは当然クリープ現象は発生しない)。この現象は運転者の意図に反して車が動くため注意を要する現象であるが、超低速域における前進や後退がブレーキペダルのみで実現できるため、AT車の普及とともにユーザにメリットとして受け入れられた物である。そのため、本来クリープが発生しないはずの電気自動車などについてもクリープ現象を再現するようになっている。なお、現在のATでは停止時に動力をカットオフすることは不可能ではないとされており、あくまで操作性の観点から残しているといわれている。フォルクスワーゲンが多く採用したDCTの一種であるDSGであるが、こちらはトルクコンバータを持たないため本来はクリープ現象が発生しない。しかし、半クラッチのような制御を取り入れており、クリープ現象のように扱うことも可能である。

クリープ現象はエンジンの回転によって強まることがあり、エンジンに負担のかかるエアコン作動時やエンジンが温まり切っていない状態のときに強くなりやすくなる。もっとも、これらの状況下ではマニュアルトランスミッションの車でもエンジン回転数が上がるため、動力を遮断できないトルクコンバータだからこそ注意が必要な現象であるといえる。

かつてスバルが同社の小型自動車であるスバル・レックスCVTを搭載した際、クリープ現象がない方が安全であると考えた同社は動力伝達部に「電子制御電磁パウダークラッチ」というものを採用したことがある。しかし、クリープ現象に慣れ親しんだユーザからは不評であり、結局後年は普通のATに戻したり、CVTにトルクコンバータを搭載してクリープ現象を復活させたりしている。

よくある誤解[編集]

CVT車にはクリープ現象がないと解説してあるサイトが多くみられる[1]が、これは根本的に間違いである。あくまでクリープ現象が発生する原因はトルクコンバータであり、CVTにトルクコンバータを組み合わせたトランスミッションであれば発生する現象だからである。前述のスバル・レックスの時代であれば電磁クラッチを使っていたため間違いではないが、現在ではトルコン式CVTを搭載した車も多く輩出されており、スバルでは1998年にi-CVTとしてロックアップ機構付きトルコンCVTというものを当時のスバルが自社生産する軽自動車に搭載していた。現在スバルがメインで採用しているリニアトロニックはCVTとトルコンを組み合わせたものであり、当然ながらクリープが発生するものである。

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. この場合の遮断とは、マニュアルトランスミッションのクラッチ操作のように、ギアを入れたまま動力伝達を切る事である

参考[編集]