オートマチックフルード
オートマチックフルードとは、オートマチックトランスミッションの潤滑・油圧発生・冷却・動力伝達など、様々な用途を担うオイル(フルード)である。オートマチックトランスミッションフルードやATフルード、ATオイルなどと呼ばれたりするほか、単純にATFと表記されることも多い。
概要[編集]
マニュアルトランスミッションにおけるミッションオイル(ギアオイル)のオートマチックトランスミッション版、と言われることもあるが、潤滑を主目的とするギアオイルに比べてATFが担う役割は多く、トランスミッションに使われること以外似て非なるものであるといってもいい。
ATFはオートマチックトランスミッション各部の潤滑だけでなく、トルクコンバータにおけるエンジンからトランスミッションへ動力を伝える流体として使われるほか、トランスミッション内の油圧回路を作動させるためにも利用され、変速ショックの緩和やミッション内で発生した熱を取り込み、放熱して冷却するという役割も担っている。
CVTに用いられるCVTFも存在しているが、CVTFと共通で使用できるもの・できないものが混在しているため、自動車ごとに定められている規格を確認ことが重要である。
ATFの交換[編集]
ATFはエンジンオイルに比べて劣化の速度は遅いものの、定期的な交換が必要な消耗品である。当然劣化に伴いATFが本来持っていた性能を発揮できなくなってくるため、油圧の低下や変速ショックの増大、スラッジの蓄積などの症状が出てくる。そのためメーカーでは数万キロに1度程度の交換を支持していることもある。
一方で新しいATFを入れることでATFが持つ洗浄能力により流路のスラッジが剥がれ、ATFのつまりを引き起こすこともある(とされている)ためあまりに無交換で走行したATFの交換は推奨されていないこともある。そのため施工店によっては過走行車のATF交換は断られることもあるほか、施工店でもATFのコンタミチェック(不純物の混入度合いを調べる)実施後に施工の可否を判断するところもある。
なお、オイル量は基本的にエンジンオイルよりも多いことがおおく、車種によってはエンジンオイルの倍近く必要になることもあるため、ATF交換は高額になりがちである。