エアバス
エアバスは、世界有数の航空機メーカーであり、商業航空機や軍用航空機を製造している。本社はフランス・トゥールーズに位置し、欧州航空防衛宇宙会社(European Aeronautic Defence and Space Company, EADS)グループの一員である。
歴史[編集]
エアバスは、1970年にフランス・ドイツ・イギリス・スペインの航空機メーカーが協力して設立された。最初の航空機であるエアバスA300は、1972年に初飛行を果たし、その後、エアバスファミリーとして知られるシリーズの航空機が順次開発された。
1980年代にはエアバスA320が登場。この機種は短・中距離路線で広く使用されるようになった。さらに、1990年代にはエアバスA330やエアバスA340が登場し、長距離路線への進出を果たした。
2000年代に入ると、エアバスA380が登場し、世界最大の旅客機として注目を集めた。しかし、販売数の伸び悩みや製造上の問題により、A380の生産は2021年に終了した。
現在、エアバスはエアバスA220、エアバスA320シリーズ、エアバスA330、エアバスA350 XWBなどの航空機を製造しており、世界各国の航空会社に広く採用されている。
製品[編集]
エアバスの主な製品は以下の通りである:
- エアバスA220 - 短・中距離路線向けの双発ジェット旅客機。
- エアバスA320シリーズ - 短・中距離路線向けの双発ジェット旅客機。A320neoは燃費効率の向上を実現している。
- エアバスA330 - 中・長距離路線向けのワイドボディ双発ジェット旅客機。
- エアバスA350 XWB - 中・長距離路線向けのワイドボディ双発ジェット旅客機。燃費効率や快適性の向上が特徴である。
- エアバスA380 - 長距離路線向けのワイドボディ双発ジェット旅客機。総二階建ての超大型機である。
技術とイノベーション[編集]
エアバスは航空機の技術とイノベーションに力を注いでおり、以下の取り組みが知られている:
- 燃費効率の向上 - エアバスは燃費効率の向上に取り組んでおり、エアバスA320neoやエアバスA350 XWBなど、新しい航空機モデルでは燃料消費量の削減を実現している。これにより、環境への負荷を軽減しながら航空会社に経済的な利益をもたらしている。
- 革新的なキャビン設計 - エアバスは乗客の快適性を重視した革新的なキャビン設計を行っている。広いシート、快適な座席配置、大型の窓など、旅客がより快適な空の旅を楽しめるように工夫されている。
- 電動航空機の研究 - エアバスは持続可能な航空の実現を目指し、電動航空機の研究にも取り組んでいる。電気推進技術の導入により、騒音や排出物の削減、環境への影響の軽減を目指している。
設計思想[編集]
旅客機の2大メーカーとしてエアバスと並ぶボーイングであるが、両者の設計思想は大きく異なるところがある。エアバスの設計思想の最大の特徴は「コンピューター優先」であることである。一方のボーイングは「人間優先」な設計となっており、両者の大きな違いとなっている。
航空機の墜落原因の多くは操縦ミスによるものが多く(CFIT)、エアバスは人間はミスを犯すものとして緊急時に人間の操作を介在させない設計となっている。これは意図的に墜落しようとする操作も防ぐものであり、スティックを倒し続け、意図的に降下し続けた場合にはシステムが降下を中断するようになっている(ただし、ブレーカーを切るなどシステム自体が作動しない状況下では無力である)。
事業拡大[編集]
エアバスは世界的な需要に対応するため、近年事業の拡大を図っている。主な取り組みは以下の通りである:
- 新たな生産施設の建設 - エアバスは世界各地に新たな生産施設を建設し、生産能力の拡大を図っている。これにより、需要の増加に対応し、航空機の納入スケジュールを確保している。
- 市場へのアプローチ - エアバスは世界各国の航空会社とのパートナーシップを強化し、市場へのアプローチを進めている。需要予測や航空会社のニーズに合わせた航空機の開発・提供を行うことで、顧客満足を高めている。
- テクノロジーコラボレーション - エアバスは他の企業や研究機関とのテクノロジーコラボレーションを積極的に行っている。航空機の性能向上や持続可能性の実現に向けた共同研究プロジェクトを推進し、業界全体の発展に貢献している。
企業文化[編集]
エアバスは多様性と協力を重視する企業文化を持っている。従業員は異なる背景や専門性を持ちながらも、チームとして協力し、共通の目標に向かって取り組んでいる。
また、エアバスは持続可能な未来を追求することにも力を入れており、環境への配慮や社会的責任を重視している。航空機の燃費効率向上や排出物削減の取り組み、地域コミュニティへの貢献など、持続可能性を経営の中心に据えている。