あきたこまちR

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あきたこまちRとは秋田県が2025年に従来品のあきたこまちから全面切替を計画しているの品種である[1]。食味や栽培方法などは従来のあきたこまちと変わらず、人体に有害なカドミウムの吸収が従来よりも低いという特徴がある。

概要[編集]

あきたこまちとコシヒカリ環1号交配し、できた種子に再度あきたこまちを交配する戻し交配を7度重ねてできた品種である。あきたこまちが持つ特性はそのままにコシヒカリ環1号のカドミウム低吸収性を取り入れた品種となっている。

秋田県は鉱物資源に恵まれている一方、鉱山から流失したカドミウムによる農地汚染が指摘されており、そういった場所での稲作においてはカドミウムを吸収させないような管理が必要とされているなど生産者への負担が大きいものであった。また、米の日本におけるカドミウムの基準は0.4ppmとなっているが、中国の0.2ppmやEUの0.15ppmに比べて高く、日本で流通できるが海外輸出ができないという販路拡大において障害となる可能性も示唆されていた。

農作物におけるカドミウム低減は農林水産省も課題として挙げており、カドミウム低吸収性の米の育成・研究が進められている。秋田県はこれを率先して導入することで国内外への消費者に対して安全なコメの安定供給が実現できるとしている[2]

反応[編集]

秋田県の全面切替という発表を受け、コシヒカリ環1号が放射線育種された品種であるため危険である、という風評がSNSを中心に広まっている。それに呼応してある政党が大きく反対を表明しており、過剰なまでに危機感をあおっているものが2023年現在見られるようになっている。

確かにコシヒカリ環1号は放射線育種された品種であるが、そもそも放射線育種とは発芽前に一度だけ放射線を照射し、突然変異を引き起こさせた米を安定した品質になるまで何世代も選抜して育成し品種登録したものである。そのためあきたこまちRへの品種改良の際には放射線の照射が行われることはなく、あきたこまちR自体も放射能を有していないものである[3]

全面切替については秋田県の種場から供給されるものがあきたこまちRに切り替わるものの、従来のあきたこまちや他の品種を購入したり自家採種して栽培することは認められている。また、あきたこまちRの自家採種は禁じられているものの、これはカドミウムの低吸収性という特性が薄れてしまう可能性によるものである[4]。なお、自家採種は育成者の許可を得れば可能となる見込みであるほか、現在のあきたこまちですら自家採種をしている割合は少ないとか。

カドミウムの吸収性が下がったことでマンガンの吸収性も低下してしまっている。育成の際に若干の注意が必要である(とくにごま葉枯病発病地域など)ものの、消費者への影響は少ないものである。

カドミウムの低吸収性に着目し、インド産のPokkaliという品種をベースに品種改良を望む声もあるものの、これは在来種に近い品種であるためあきたこまちの品質を保ったままカドミウム低吸収性を獲得させるには多大なコストと時間がかかることから代替案とはなりえていない[5]

関連項目[編集]

脚注[編集]