CANインベーダー

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CANインベーダーは、車の各部分に電子信号を送って制御するCANに外部から不正信号を流し、自動車の解錠やエンジン始動を行い、車を盗む手法である。海外では「OBD Port Theft」や「OBD Car Theft」と呼ばれている。

概要[編集]

2021年時点で、被害代数は約200台で、被害総額は約10億3千万円とされる。「CAN」は「Controller Area Network」の略で、ドイツBosch社が開発したシリアル通信プロトコルである。1994年に国際標準化機構(ISO)により標準規格(ISO11898/ISO11519)になり、現在はほぼすべての自動車に採用されている。

今までのリレーアタックやコードグラバーは盗難する車両のスマートキーが発する電波を利用していたが、CANインベーダーは車のシステムに直接侵入する。OBDⅡに不正にアクセスし、盗難する車両を解錠、運転できる状態にする。

事例[編集]

2021年2月2日午前2時頃、千葉県柏市の駐車場で「レクサスRX」(約500万円)を盗んで、大阪府堺市堺区の会社員2名が逮捕された[1]

愛知県内でトヨタ自動車の高級車「レクサスLX」が盗まれる事件は2020年に車種別で最も多い119台が被害にあっている[2]

対策[編集]

外部からアクセスしやすいCANケーブルへの対策が有効である。CANインベーダーは車外からCANケーブルを引っ張り出し、CANケーブルに信号を割り込ませる装置を接続するため、ケーブルに対して保護版を設置するなど物理的な防御を行うとよいとされている。また、ハンドルロックやタイヤロックなどの車両の操作に関してのロックも有効である。

燃料ポンプや点火系に別途スイッチを設け、降車する際に毎回スイッチを切ることも有効である。こちらはバッテリーカットより手間がかかるものの、ECUの再学習やアクセサリ類のリセットが行われないというメリットもある。一方で開錠のみCANインベーダーを使用し、運搬に積載車を使用する犯行には効果がないため、別途物理的なセキュリティがあるとよいだろう。

関連項目[編集]

リファレンス[編集]