集合
集合とは、数学でよく使う、物の集まりのことである。
概要[編集]
数学における、最も基本的な概念の一つ。とりあえず物が集まれば何でも集合である。{1,4,6,8}みたいないくつかの数で構成されるものも集合であるし、「整数全体」や「実数全体」も集合である。もっと言うと、「日本の駅名全部」や「日本全国の鉄道車両全体」も立派な集合である。また、{{1,2},{3,4},{5,6}}の様に、集合の集合を考えることもよく行われる(これは{1,2,3,4,5,6}とは異なる集合として考えるので注意)。
集合を構成する物(よく「元」と呼ぶ)の間の位置関係や順序は、考慮する場合としない場合がある。単に「集合」とだけ言った場合は、順序を考慮しない。また、同じものが複数個集める様なことは基本的にしないので、「日本の駅名全部」と「日本の駅全部」は異なる集合となる。例えば大久保駅の場合、駅名全部の集合では1回しかカウントされないのに対し、駅全部の集合では兵庫県、京都府、東京都、秋田県の大久保駅が全て異なるものとしてカウントされる。
集合の種類[編集]
何も含まれていない集合を空集合と呼び、最も基本的な集合とされる。という記号を使う。ある意味最強の集合であり、全ての集合の部分集合になる他、「もしXが空集合の元であれば、」という条件で始まる命題は全て正しいとみなされる。
集合Aが、集合Bに含まれるとき、AはBの部分集合であると言う。例えば、「兵庫県の駅名全部」は、「日本全国の駅名全部」の部分集合である。ただし、全く同じものが含まれている必要があり、例えば「日本全国の駅名全部」は「日本の駅全部」の部分集合にはならない。さらに、集合の集合{{1,2},{3,4},{5,6}}を考えた時、{1,2}はあくまで集合{{1,2},{3,4},{5,6}}の元であって、部分集合ではない。
AがBの部分集合である時に、Aに属さないがBに属する集合のことを、Aの補集合と呼ぶ。
集合A、集合Bのいずれかに属する元の集合を、AとBの和集合と呼ぶ。AとBの両方に属する集合は、共通部分と呼ぶ。例えば、{1,3,5}と{1,2,3}の和集合は{1,2,3,5}で、共通部分は{1,3}である。
写像[編集]
集合Aのすべての元をそれぞれ、集合Bの元のいずれかに対応させた時、この対応付けのことをAからBへの写像と呼び、集合Aを写像、集合Bを値域と呼ぶ[1]。写像では、全てのAの元を対応付ける必要があるが、全てのBと関連付ける必要は無い。また、複数のAの元を同じBの元に対応付けることも可能。
写像によって、Aの元に関連づけられたBの元の集合を、写像の像と呼ぶ。像がB全体である時、写像は全射であると言い、全てのAの元がそれぞれ異なるBの元に対応づけられている時、写像は単射であると言う。両方を満たす時は全単射と呼び、この時はAの元とBの元が完全一対一対応になるので、BからAへの逆写像が定義できる。
例えば、「日本の駅全部」から「日本全国の駅名全部」への写像を考える。それぞれの駅から、その駅の駅名への写像を考えると、この写像は全射であるが単射では無い。なぜなら、前述の大久保駅の様な例があるからである。逆に、「日本全国の駅名全部」から「日本の駅全部」への写像も考えられ、「駅名○○」→「全国の○○駅の中で最も西にある駅」という様な写像を取ることができる。これは単射であって、全射では無い。
全単射の例としては、実数から実数への写像で、などがある。この写像の逆写像は、となる。
関連項目[編集]
脚注[編集]
- 注
- ↑ ただし、値域は、後述の「像」の意味で使うこともあるのでその時々の定義に注意。