距離減衰式

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距離減衰式(きょりげんすいしき)は、地震学における「距離減衰」と呼ばれる現象を式に表したものである。

概要[編集]

「距離減衰」とは、地震が発生した場所から遠くなればなるほど、地震の揺れが弱くなる現象のこと。例えば、震源に近いところの震度は大きくても、遠い場所では震度が小さくなるのは、この距離減衰のためといえる。

「距離減衰式」とは、この地震の揺れの強さと震源からの距離との関係を式に表したものである。「地震のマグニチュード」や「震源からの距離」などを計算式に入力すると、震源からの距離に応じて、「地震の揺れ」や「震度」が計算されるという仕組みである。ただし、実際には、マグニチュードと震源からの距離だけではなく、地震の発生した深さや、震源の特性、揺れを知りたい地点での地盤の柔らかさによっても、地震の揺れは大きく変わる。このため、近年、米国では距離減衰式ではなく「地震動予測式」と呼ばれている。なお、「距離減衰式」は過去に発生した数多くの実際の地震のデータを統計的に処理して作成されている経験的手法に基づいた式である。

「距離減衰式」は、地震の揺れを予測するために活用される。例えば、ある活断層で地震が発生した場合、その周りの地域でどの程度の震度分布になるかという予測計算に用いられています。計算した予測震度分布は、地震動ハザードの評価に用いられ、さらにその地震動ハザードを用いて、その場所でどのような被害が発生する可能性があるかを評価することができる。また、緊急地震速報にもこの「距離減衰式」が活用されている。

地震の揺れをより正確に予測するためには、地形や地下の構造をモデル化し、震源断層の特性も踏まえたうえで、詳細に計算する必要がある。しかし、そういった手法は時間や労力をより必要とするため、比較的簡単に短時間で計算可能な「距離減衰式」を用いた手法との間で、用途に応じて使い分けがなされている。

一般的には、地震の発生場所から遠くなればなるほど揺れが小さくなるが(距離減衰)、深い場所で発生した地震などでは、地震の波の通ってくる経路などによって、地震発生場所から遠く離れた場所の方が揺れが大きくなる場合もある(異常震域)。また、長周期地震動用の距離減衰式など、用途に応じて様々な距離減衰式が使われている。

出典[編集]