観音菩薩

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観音菩薩(かんのん ぼさつ、英: Guānyīn、梵: Avalokiteśvara)は観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)を略した名前で、仏教の菩薩のひとつである。鳩摩羅什訳の『妙法蓮華経』では衆生(生きとし生けるもの)が苦しみ悩む音声を観じて救う存在で、人々を救うために「馬頭観音」「千手観音」「白衣観音」など33の姿をとるとされている。なお、法華経の他の訳では、必ずしも33の姿ではない。 『般若心経』では「観自在菩薩(かんじざいぼさつ)」と表記する。光世音阿婆盧吉低舍羅ともいう。別名に救世菩薩(くせぼさつ)がある。

由来[編集]

観音の由来は定かではないが、紀元1世紀から2世紀ごろにインド・ガンダーラで発生し、中国、南東アジア、朝鮮に広まったと考えられている。ガンダーラ時代は釈迦菩薩、弥勒菩薩、観音菩薩3種の菩薩像がつくられた。出家以前のゴータマ・シッダールタの姿、すなわち当時のインドの王侯貴族の衣装をモデルにしたといわれる[1]

日本には6世紀後半に伝来した。観世音菩薩の霊場は日本で補陀落山(補陀落渡海となった)として知られる。慈悲の姿で性別はないとされるが、ガンダーラ観音菩薩の仏像は男性の姿で表されていた。中国、朝鮮、日本の仏像は女性の姿になっている。国宝「三十三間堂」の33の数字は観音菩薩の33の姿と関係あると考えられている。

観音菩薩を祀る建物を観音堂という。

仏の分類[編集]

仏には如来、菩薩、明王、天部、その他に分類される。位の分類ではなく、役割の違いである。

区分 本名 内容 姿・容姿 事例
如来 ゴータマ・シッダルタ 真実から来た者、仏教の開祖である釈迦を表す 衣をまとっただけの質素な姿で装飾品はない 釈迦如来、大日如来、阿弥陀如来、薬師如来 
菩薩 ゴータマ・シッダルタの若いころ 悟りに至るために精進する修業者、人々が悟りに至ることを支援する者 冠、首飾り、イヤリングなど装飾品を身に着け、髪は結い上げる 弥勒菩薩、文殊菩薩、観音菩薩、千手観音、 勢至菩薩、普賢菩薩、日光菩薩、月光菩薩 
明王 Vidyārāja 仏教に帰依していない民衆を帰依させる役割 動物などいろいろな物に座し、武器を持ち、目や手の数が多い 不動明王、金剛夜叉明王、愛染明王 
天部 古代インドの神々 教の世界に煩悩が侵入することを防ぎ、人々が悟りに至ることを応援する 姿は多種多様 阿修羅、鬼子母神、弁財天、大黒天、毘沙門天、吉祥天、帝釈天、梵天
その他 上記に属さない神々 教の世界に煩悩が侵入することを防ぎ、人々が悟りに至ることを応援する 姿は多種多様 三宝荒神、閻魔王、蔵王権現

ご利益[編集]

観音菩薩の力を信じる者は様々の難を滅することができると信じられている。中国の南北朝時代から時代にかけての僧侶「智顗(ちぎ)」は『観音義疏』に七難をまとめた。

  1. 火難(あらゆる欲が発する難)
  2. 水難(欲に溺れることによる難)
  3. 羅刹難(らせつなん)(悪い鬼による苦しみ)
  4. 刀杖難(己を信じきれぬことによる難)
  5. 悪鬼難(欲の流入による難)
  6. 枷鎖難(かさなん)(欲に捉われることによる難)
  7. 怨賊難(欲を畏れることによる難)

その他[編集]

  • なぜか中国では観音菩薩の銅像が取り壊される事態になっている模様[2]
  • 日本でも大き過ぎて老朽化による外壁の剥離が周辺の住民に危険を及ぼす程のものは解体される模様[3]

参考文献[編集]

  1. 宮地昭(2013)『弥勒菩薩と観音菩薩』龍谷大学仏教文化アジア研究センター、ワーキングペーパNo12-2
  2. 山東省の観音菩薩の銅像が破壊される”. Bitter Winter(日本語) (2018年12月22日). 2019年4月29日確認。
  3. 世界平和大観音像