苦海浄土

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苦海浄土(くがいじょうど)とは、石牟礼道子水俣病をテーマに被害の実態とともに患者と家族の苦しみや憤りを描いた文学作品のである。

昭和35年(1960年)から「空と海のあいだに」の題で雑誌『サークル村』や『熊本風土記』に連載され、昭和44年(1969年)に『苦海浄土――わが水俣病』の題名で講談社から単行本で刊行された。続編として昭和49年(1974年)に発表された『天の魚』はシリーズの第3部に位置づけられている。第2部にあたる『神々の村』は平成16年(2004年)に出版された。

なお、この苦海浄土は昭和45年(1970年)に第1回大宅壮一ノンフィクション賞に選ばれたが、石牟礼は「水俣病患者を描いた作品で賞を受けるのに忍びない」と辞退している。

方言を駆使した美しい文章や報告賞のような文体、近代文明批判の思想が高く評価され、反公害運動にも大きく影響を与えた。また、『池澤夏樹=個人編集 世界文学全集』に日本語で書かれた長編として唯一収録されている。